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鐔

稲穂透図 長州萩住作之進友久

商品番号 :TB-024

江戸後期 保存刀装具 桐箱入

売約済

竪丸形 鉄地 肉彫地透 金布目象嵌 角耳小肉

縦:7.18 cm 横:6.89 cm 切羽台厚さ:0.47 cm 耳際厚さ:0.44 cm
本鐔は稲穂をあしらった肉彫の地透ですが、この肉彫の所作というよりフォルムに注目したいところです。フォルムといっても稲穂の構図や配置ではなく写実性で、特に葉や茎を立体的かつ表裏の凹凸を正確にデフォルメしています。葉が谷のように凹んでいたら、裏側は山のような凸形状に彫っており、数物の類いとは違うことをさりげなく印象づけています。その造形の所作も丁寧で、葉の谷筋も削り取った溝ではなく、一本の凸状の筋を彫上げているあたりに、鐔工としてのこだわりと巧さが見てとれます。意図的だと思われますが、稲の実ではなく茎や葉の所々に配した布目象嵌からは華やかさは感じられず却って地味で、一見、シンプルであっさりとした印象を受けますが、実は細部にまで手を入れた秀作です。こうしてみると、だんだん立体的に見えてくるのは錯覚でしょうか、実物の稲穂が平たい鐔になっている様にも思えてきます。
作者の作之進友久は長州は八道家、江戸後期の鐔工とされていますが、友久が八道家初代で延宝から貞享(江戸初期)とする説もあります。本鐔を見る限り、デザイン、構図、鉄質、状態からみても江戸初期の作と極めるのは難しく江戸後期の作とみるのが妥当かと思われます。仮に江戸初期の作だとしたら、当時はかなり斬新で高級な鐔と言えなくもないのですが・・・有無で言ったら無いですね

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