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鐔

銀杏透図 行年八十一才 正恒

商品番号 :TB-026

江戸後期 保存刀装具 桐箱入

売約済

竪丸形 鉄地 肉彫地透 金布目象嵌 両櫃仕立(片赤銅責金) 角耳小肉

縦:7.24 cm 横:6.97 cm 切羽台厚さ:0.47 cm 耳際厚さ:約0.30 cm
大きさや形が異なる銀杏の葉を重なり合うように三枚左回りに配し、無理なく上手に円形を形づくり、小柄・笄櫃孔をも葉の形状を巧みに活かして作られています。特に表面の右側から立上がる葉は、折返すエッジ(縁)部分が他の形状より深く丸味を帯び、装着した際の見え方に気を配っています。また、各葉の先端あたりに少し凹ました緩い谷が確認でき、葉の形状自体も立体的造形をかなり意識したことが窺え、手の込んだ一品といえるでしょう。
一個所だけ不可解な所作があるのですが、それは笄櫃孔に施された責金。この責金、裏側より表側の厚みが薄いのです。小柄・笄はが鞘の櫃に収まっている時は、鐔の櫃孔から少し外に向って頭が出ています。なので引き出す際は裏側の縁が最初に擦れますから、本鐔の責金の形状はその逆・・・まさかとは思いますが、表裏逆向きに装着していたのでしょうか。考えられなくもありません。それとも、この責金の形状で正しいのでしょうか・・・。
作者の正恒ですが、本鐔に行年八十一才とありますから、随分と円熟した時期に作ったことになります。まあ、この高齢を考えると後代が手伝った、または代作したと考えるのが自然です。なにせ正恒は幕府お抱えの鐔師。父である正長の代から幕末まで繁栄した鐔工一族の二代目です。ちなみに『刀装金工辞典』には「・・・享保二年行年八十一歳と添えた作があるという。」と記載されています。この既述は、本鐔のことを指しているのか、またはその中の一枚と思われます。そう思うと、本鐔がより良く見えてしまいます・・・おっと、これは本の影響です。あからさまな依怙贔屓になるので無視してください。

銀杏透図 行年八十一才 正恒 銀杏透図 行年八十一才 正恒

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