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縁頭
二俣大根図(無銘)
商品番号 : FG-002-SS
江戸初期 桐箱入
70,000円
赤銅石目地 高彫据紋 金袋着
縁/縦:3.82 cm 横:2.26 cm 高さ:1.18 cm
頭/縦:3.35 cm 横:1.75 cm 高さ:0.62 cm
実はこの縁頭、縁の方は鐺を縁に仕立て直したものです。当店の監修顧問である中原氏によれば、別に珍しい造ではなく、この手の仕立て直しはよくあるケースだそうです。目貫や揃い金具の「取り合わせもの」とは違い、材料代が高かった当時の金工たちの工夫の賜物と考えれば、気にする事のない事例だと思います。ただ、それを素直に説明しないのはいけないのであって、正確な情報のもと評価していただければ幸いです。「縁頭」で一対という概念が薄かった時代を考えれば、この組合わせがあって当り前、かえって時代の信憑性が高まるのではないでしょうか。古風な風合いが漂うのはそのせいかもしれません。
画題は、葉の広がりに対して小さ過ぎるほどの大根。なぜか不自然さよりも愛嬌たっぷりで、違和感なく魅せるデフォルメを褒めたいと思います。この時代にあって、画題をキャラクター的に表現するとは、作り手の表現力に驚かされます。紋自体は、縁・頭ともに据紋で、なんと金の袋着にしています。それもかなり厚めの金板です。この造りを簡易な所作とみるか、逆に手の込んだ丁寧な所作とみるか・・・時代と技法、材質、薄手の造からみて、後者の可能性が高いとみるべきです。銘が刻られていないのもそれを裏付けるかのようです。縁の紋の反対側(指裏)には、葉の一部を毛彫りにして何気なく気の効いたレイアウトを石目地に施しています。