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縁頭
稲穂図(無銘・野村)
商品番号 : FG-005
江戸中期 保存刀装具 桐箱入
65,000円
縁/赤銅石目地 高彫 金色絵 頭/赤銅石目地 高彫 金袋着
縁/縦:3.67 cm 横:2.33 cm 高さ:1.35 cm
頭/縦:3.31 cm 横:1.86 cm 高さ:1.01 cm
揃いの縁頭は江戸中期以降の新しい作が殆んどで、本作もその例に漏れないかもしれません。かもしれませんと曖昧にしたのは、この縁頭に施された色絵が気になってのことです。本作の色絵はよくある擦れた所作があるものとは違って、薄い金板が貼付けてあるのです。桃山期以前の古い時代にある袋着に似た手法で、おそらく金板を鑞付(銀鑞ではありません)したもので平象眼に近いやり方に思えます。なので僅かに剥がれた個所が、まるで袋着が破れたかのような趣のある所作に見えています。鑑定書の極を信用すれば、ちょっと強引かもしれませんが、江戸前期頃の野村派の作と言えなくもありません。野村派は後藤家の七代・顕乗の門から始まっていますから、十分に時代の整合性はとれます。加えて無銘という点もそれを後押しすることには・・・ちょっと都合良すぎかも。町彫の極は難しいものですね。流派によって特徴があるのでしょうけど、彫に関しては繊細かつ緻密、極めて写実的で皆上手です。本作も稲穂そのままに一目でそれと分かる表現力に驚かされます。“粟穂の東明”とはレベルが違いますが、それでも実筋や穂先の特徴を捉えていて、実って穂が垂れる前の若々しい姿を描いていて、シンプルですが上品さも持ち合わせています。