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縁頭・拵

縁頭

巾着印籠図(無銘)

商品番号 : FG-012

江戸後期(幕末) 桐箱入

60,000円

縁/赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金銀素銅色絵 珊瑚象嵌  頭/赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金銀素銅色絵 珊瑚象嵌

縁/縦:3.83 cm  横:2.13(紋含:2.23)cm  高さ:0.86 cm
頭/縦:3.58 cm  横:1.58 cm  高さ(紋含):0.77cm

巾着と印籠を画題にした縁頭。それほど珍しくもない図柄ですが、描かれている緒締(おじめ)の部分に施された赤い玉・・・・これは珊瑚です。刀装具に使われているのを稀に見かける程度で、珍品といえば珍品、キワモノの類といったら失礼でしょうか。この珊瑚、江戸期では輸入品。やはり高価な品だったのでしょうか。まあ、本縁頭は赤銅地に金銀素銅の色絵を施した作、そこに赤珊瑚ですから高級な部類に入ることは確かだと思われます。ここまでやるのですから、彫もしっかりしており、細かな造形まで丁寧に表現しているようです。正直、上手です。巾着、印籠、紐、根付、そして緒締と、それぞれの質感と形状をかなり緻密に彫り上げています。ちょっと不思議なのは巾着と印籠が一つの根付に繋がっている点で、この二つを併用するときにはこの状態で使用したのでしょうか? ちなみに根付は縁頭共に菊花のようで金色絵が施されています。どちらも配置は違えどほぼ同じ構成ですが、縁にだけ扇子が付け加えられています。
品質だけを見ればそれなりの上等品ですが、銘がありません。やっぱり珊瑚の力に物を言わせた贅沢品という位置付けでしょうか。造はかなり厚手の地金、腰物という画題、輸入された珍しい珊瑚、そして極めて良い保存状態・・・ここまで揃えば時代は江戸後期、たぶん幕末頃でしょうか。それでも面白い所作が縁頭共に裏側にあります。珊瑚が象嵌されたちょうど真裏にボコっと膨らみが出ています。珊瑚の玉を象嵌するためにこの所作にしたと思われ、金属とは異質の材料を象嵌するための工夫と思われます。やっぱり埋め込んだのしょうね、瞬間接着剤はなかった時代ですから。それとも膠や松脂みたいなものでくっつけてあるのでしょうか・・・剝がしてみたくなります・・・。

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