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笄

波乗龍図(無銘)

商品番号 : KG-003

桃山期 桐箱入

180,000円

赤銅波彫地 高彫 金袋着色絵 表裏哺金

長さ:21.10 cm  幅:1.27 cm  高さ:0.56 cm
古笄(桃山期)の笄直しという珍しい一品。額の内に嵌め込まれた古笄は、まさに濡れ烏のような黒い赤銅波彫地に波乗龍を高彫、金の袋着色絵を施してあります。時代を経たその古笄が、竿か耳掻きに欠損のような問題を抱えたため江戸期以降に入り作り直したもので、処分するにはよほど出来の良い品であったか名残惜しい作だったのでしょう。龍の盛り上がった肉置と袋着色絵がそれを物語っているようであり、滑らかな質感も大事に使われてきた思いを感じさせます。
見所は紋(地板)を嵌め込んだ所作で、元々の形状に合わせて本体を合わせたのか、それとも本体に合わせて紋の形を整えたのか・・・本体と紋の隙間がかなり明瞭に確認でき、接着に用いられたと思われる漆が木瓜の縁にはみ出ています。いずれにせよ、元々の笄の紋を整形せずにそのまま切り出して笄に仕立て直した結果、今のサイズは一回り小振りになったことが推測できます。これが小柄に直されていたら、地板はもう少し大きめに整形されていた筈です。おそらく、波地がその一因でしょう。七子なら打ち直しがまだ用意ですが、波彫では、それまでと同じ紋様に合わせて彫ることはとても難しいのが想像されます。金工の苦悩が見てとれますね。

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