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笄

葡萄図(無銘・古美濃)

商品番号 : KG-026

江戸初期 保存刀装具 桐箱入

80,000円

山銅魚子地 鋤出高彫

長さ:22.1 cm  幅:1.51 cm  高さ:0.49 cm
地を深く掘り下げ、切り立った様に高彫した俗にいう美濃彫による山銅の笄。鑑定書も鋤出高彫の古美濃となっています。それにしても、山銅の古美濃で葡萄図とくればこのデザイン。同じ様な作をいくつも経眼していますが、なにか惹きつける魅力があります。リアリティがあるわけでもなく、かといって繊細な彫でもなく、どちらかといえば気の抜けた唐草文と言えなくもありません。しかし、そこが良いのでしょう。山野に茂る山葡萄を切り取って、額に拡げた感じそのままに、質素で素朴な図柄にエキゾチックな異国のレリーフを重ね合わせて生まれたデザインに思えます・・・ちょっと持ち上げ過ぎかもしれません。
額内がスカスカに感じる程に地を彫り込むのは、やはり材料の削減から生まれた手法なのでしょうか。それとも紋を際立たせる野手に富んだ技法なのか、当時の美濃彫金工はなんと答えるのでしょう。小窪健一氏の「金工美濃彫」にも、その理由は確認出来ず、雅味のあるなしに終始しているし、なんかスッキリしないのです。
本作の製作年代は桃山期と言いたいところですが、総体の姿・肉置から江戸初期まで下るかもしれません。古美濃との極には申し訳ないのですが、当店はあえて江戸初期としました。いや、室町後期は絶対にあると言われれば、それはそれで良し・・・時代が上がる事に文句はありません。古ければ古いほど本作の存在感が高まるのですから。

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