長さ：23.7 cm　　幅：1.45 cm　　高さ：0.60 cm
かなり大振りの時代笄。画題は芥子を額内に広くあしらって豊かさを表現しています。立体的な楕円形の芥子坊主をごろごろと無造作に寄せ集めたデザインですが、一つの括りとしてみれば、丸味を帯びたフォルムが作り出されています。いい感じです。単純な彫だけの所作ですが、決して手を抜いているわけではなく、シンプルながらも芥子坊主の表情を良く捉えており、紋を大きくゆったりと見せている所作に好感が持てます。
本作は材料も上手の作ではなく、下手の部類に入りますが、どのみち時代笄だろ！と一言には片付けられないなかなかの秀作です。本作を見た当サイトの監修者・中原氏も「好ましい下手作」褒めており、地方工人の作だろうとのこと。当時の地方金工とすれば、京以外の金工を指すわけで、どこでしょうね・・・大坂、尾張、博多・・・まさか美濃？　いやいや美濃はあり得ないでしょう？　美濃なんて言ったら、偉い先生にお叱りを受けてしまいますね。