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笄

芦に白鷺図(無銘・古金工)

商品番号 : KG-040

桃山期 特別保存刀装具 桐箱入

230,000円

赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金銀袋着 金銀露象嵌 蕨手金

長さ:22.6 cm  幅:1.38 cm  高さ:0.65 cm
肉置豊かな体配、幅、長さといい古笄の姿を地でいく本作。ふっくらとした胴体にこんもりとした紋を鑞付据紋にして、華やかな桃山期の雰囲気を醸し出しています。確かに上手作です。赤銅の真黒な色合に金の袋着、銀は袋着ではなくおそらく焼付でしょう。ただ、金も銀もどちらも焼付(置金)の可能性も否定できません。他には、金銀の露象嵌に蕨手も金、経年による擦れもほどほどで至って健全な方で、造込や所作に関しては揶揄する個所はほとんどありません。画題は芦に白鷺・・・黒い赤銅地の芦の葉に金色の穂が左右に展開し、その中心に飛び立つ白鷺を銀色絵で描いています。左右の金色の穂は、一見、鳥の羽にようにも見え、鳳凰が舞っているかのような錯覚も。あるいは三羽の鳥にも見えたりします。この印象は人それぞれでしょうが、ちょっと混み入り過ぎで乱雑な感じがしないわけでもありません。作者としては豪華で華やかなイメージを狙ったと思われ、その意味では正解でしょう。
その白鷺の画題ですが、室町期以前の古い小道具には使われている例を知りません。江戸期に入った頃から小柄等には散見します。銀の色絵がメインで使われていることもそうですが、画題も含めて本笄の製作年代は思ったほど古くはないのかも・・・体配の姿と高く彫られた紋、そして金の袋着の所作を考慮すれば桃山期、しかし、焼付による銀色絵や肩の張り具合まで含めれば江戸最初期に下げて極めるのが妥当かと思われます。江戸最初期といっても桃山期との端境期で、慶長あたりにしたいところです(当店の勝手な時代推定ですが、年紀まで極めるのはちょっと行き過ぎかと・・・反省!)。
それにしても、見所、極め所で乖離する要素が混在する例はあまりなく、当店としても全く自信がありません。ならば直感で!・・・多分、江戸最初期? おそらく、どちらかといえば、きっと、かもしれない・・・(逃げ恥は役にたちますね)。こうなると鑑定書の極はとても有効な区分表現に思えてきます。なにせ古金工ですから、どうにでも取れてしまいます(完敗です)。

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