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笄

枝牡丹図(無銘)

商品番号 : KG-041

桃山期 桐箱入

売約済

山銅七子地 高彫

長さ:23.1 cm  幅:1.39 cm  高さ:0.67 cm
平肉がふっくらとして、山並みのように盛り上がった紋。法量も江戸期の定寸物より一回りも二回りも大きな体配。時代は桃山期。地金が山銅なので俗にいう時代笄かと言えば、その部類には入れたくない風合いをしています。山銅の色もかなり黒い方で、人によっては赤銅と見られるかもしれません。画題は枝牡丹でよく見られる構図なのですが、牡丹の花弁が二重になっていたり(中央の花)、重なり合っていたりと構図が細かく緻密で手の込んだデザインです。その紋の彫が本笄の見所であり大きな特徴と言えるでしょう。本笄の彫は地金の塊から彫り込んだ高彫。据紋ではありません。彫り込んだ鏨の痕跡が地板(額内)に均一ではない微妙な面となって残っています。その上に七子を紋を避けながら蒔いたようで、かなり微細な粒ながらも決して整然としていない並びをしています。反面、紋の彫は丁寧で、高さと立体感のある姿に仕上げています。時代笄に較べて、その繊細な彫口に驚かされます。時代笄と一緒くたにするのを否定したのはこの点です。
古美濃研究家の小野剛資氏は、本笄の高彫を「鋤下彫(=鋤出彫)」と見たようです。確かに鋤下彫と言われればそうかもしれませんね。ただ、そこから古美濃と極めることには正直、少し抵抗があります。本笄のように高低差のある山高く谷低くの表現は、古美濃にはみられない所作です。それこそ後藤家によく見られる彫口・・・花弁の形状は怒ついV字状ではなく、どちらかといえばU字状になっており、もしや後藤家の掟に準じるかとも思いましたが、そこまでゆったりした形状でもなく、地金の質と七子の処理を考慮すれば後藤家にも持っていけません・・・やっぱり古金工にいくしかないのでしょうか? ここは合わせ技で、後藤風鋤下彫古金工・・・何のこっちゃ! どうやら頭が混乱したようです。このまま突き詰めるとカオスに嵌りそうなので、勝手に離脱します。ご容赦!

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