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笄

山椒山葵図(無銘・古美濃)

商品番号 : KG-049

桃山期 保存刀装具 桐箱入

売約済

山銅七子地 鋤出深彫

長さ:23.15 cm  幅:1.52 cm  高さ:0.44 cm

一見して古さが伝わる時代笄の紹介です。古いといっても桃山から江戸最初期にかけての作。室町後期、ましてや室町中期以前の作となれば趣も姿もまた違ったものになり、滅多に見にすることはありません。もし、そういう触れ込みの作に出会ったらご注意を。で、古さは十分にある本作ですが、いわゆる数物の類です。この風合いある笄を数物と一蹴することに抵抗があります。言い方を変えて下手作・・・似たようなもんですか・・・それでも、上手作の高級品にはないこの趣、断然支持します。何といっても時代を感じます。そして身近に感じます。品格? そんなものはありません。あってはいけないのです。(愛好者の方からお叱りを受けそうな・・・決して卑下しているわけではありません。) 長く幅もあり大柄ですが、平ったく肉付きは貧相です。その姿に画題である山椒と山葵をすまなそうにぽつっと置いただけ。額内はスカスカ、それがまた味わいを強く意識させるのです。でも七子は意外に丁寧で乱雑というほどではありません。この手合いの作では整然とした方です。彫口は鋤出彫、古美濃と言われる作の典型です。もちろん肉彫(中には鑞付据紋の作もあり、それが古い室町期の作として極められていることには違和感があります。)です。この山葵(わさび)は根の部分をちゃんとそれらしく彫っていて、山椒と合わせてピリッと効いた画題の組み合わせ、その意味合いは?・・・みさんで妄想してください。
画題から離れて耳の所作について一つ・・・耳の貝の内が少し左右に傾いているのに気づかれている方もいらっしゃでしょう。この手の下手作によくある所作です。これは雑にいい加減に作ったわけではなく、笄を引き出す際に指で取り出せやすくするための工夫です。実際に指で耳をつまむとなぜその形状なのかがよくわかります。ぜひお試しあれ。
鑑定書には鋤出深彫という記載が。単に鋤出高彫ではなく、深彫としているのには理由があるのでしょうか。古美濃ということを強調したかった、それとも極めた審査員や時期で表記はそれぞれ?(どのみち、当店には突っ込んで言えるだけの権威も鑑定眼もありませんが・・・)

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