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笄

糸瓜図(無銘)

商品番号 : KG-060

桃山期 桐箱入

売約済

山銅七子地 高彫 金袋着 蕨手金

長さ:22.5 cm  幅:1.31 cm  高さ:0.45 cm  紋部高さ(最大):0.61 cm

少し肌が荒れた笄ですが、なにぶん桃山期以前の古笄、多少の疵は大目に見てやってください。それでは、気になる疵や保存状態から・・・表面の竿部分、雉子股あたりに少し長めの引っ掻いたような擦れ痕、その下の方にも小さい擦れ。裏面は竿の部分に小さな擦れ、そして胴の部分には刀でいう鍛疵のような細いか凹があり、その領域がツヤのないマットな面になっているので、余計に疵が目立つようです。そして紋以外の表面色がやや緑がかった斑模様のような叢になっています。この色合いは、緑青が出てしまった痕跡かと思われ、裏面の鍛疵に似た細かい凹も、緑青の朽込跡かもしれません。こうした外見上の状態は、まあ、人それぞれに気になる、気にならないという自己判断ということでご了解ください。
体配は肉置ふくよかに長寸で大柄。桃山期に多い華やかなフォルムです。紋の画題は糸瓜、額内に少し空き領域を残して彫られた無垢からの高肉彫。それほど高低差はなく、彫口自体も緻密で繊細というわけでもありません。どちらかというと、すこしボテっとした印象です。それでも、色絵は金袋着、やや剥がれ方が激しい状態ですが花の部分にだけ施しています。この所作だけでも古さの価値としては十分。それに金蕨手、山銅地の作にしては七子地が細かく整っている方です。当時は、決して高級な古笄ではないにせよ、それなりに丁寧に作られた中上作(当時は疵を気にしないことを前提としています)・・・と評価しても、山銅地にこの彫口を後藤家には極められません。地方金工の作とみるのが無難で、京で作られたにせよ古金工の極しかないのでしょうね。
因みに、古金工の作というのをもう少し分類出来ないものでしょうか。桃山期以前なら古後藤以外の作はほとんどが古金工極。あっても古美濃ぐらい? 古正阿弥もあったかな? できれば流派や国別に極められたら申し分ないのですが。もしそれが可能なら凄いことですが、如何せん、文献・資料も乏しく研究・究明は絶望的な現状です。まあ幸い、時代はある程度絞れるようですが、これだって極の基準規定が曖昧?・・・やっぱり見た目のイメージが幅を利かせているのでしょうか・・・(あくまで個人的感想です)。

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