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小柄

小柄

老松図(無銘・古美濃)

商品番号 :KZ-014

室町後期 特別保存刀装具 桐箱入

280,000円

山銅魚子地 高彫 銀露象嵌

長さ:9.91 cm  幅:1.32 cm  高さ:0.63 cm
あまり抽象的に表現するのは避けたいのですが、一目でその上品さに惹かれます。老松の幹は蔓のように描かれ、散らされた松葉は控えめながらも銀の露象嵌が効いています。画題の中の主役を敢えて置かず、小紋模様の洒落た印象を表現したかったのかもしれません。強いていえば松葉の中の穂先(銀露象嵌)が主役で、その無理のない配置が絶妙なのでしょう。山銅の色もまたこの風合いに合っていて、赤銅にはない良さがあります。本作を例えるなら、自分の細君を携えているような小柄です。魚子を見ると長年連れ添った擦れが見られますが、松葉の銀象嵌に欠落はなく良い状態です。
画題の構図と鋤出風の高彫からだと思われますが、古美濃と極められています。いったい古美濃とはどんな作を言うのでしょう。作風? 場所? 構図? 材料? 私共の知識では理解し難い領域です。まさか誰かの言動やイメージを基に極めているとは思いませんが・・・おっと失礼。本作は笄直しの袖小柄ですが、元になった笄の時代を室町後期と見ています。造りや状態から室町中期としたいところですが、もしその時代の古美濃であればもう少し肉置が高く、鋤出の彫も抉り取った壁が垂直に近い状態になると言われていますので、掟?通りに捉えることにしましょう。ともあれ、私見ですが大正ロマンの匂が漂う惹かれる逸品です。

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