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小柄
炭焼図(無銘・後藤)
商品番号 :KZ-042
江戸中期 保存刀装具 桐箱入
40,000円
赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金銀色絵 裏哺金
長さ:9.77 cm 幅:1.48 cm 高さ:0.75 cm
炭焼小屋をほぼ中央に配して左右に雑木が散らばり束ねた炭が所々に置いてあります。なんとも素朴というより簡素な構図です。画題とデザインも古い構図で本小柄が江戸中期の作と考えれば、当時としては無難で古くさくもあるデザインだったと思われます。これと似た画題に塩屋図などがありますが、どちらも生活に密着したテーマで生活の一端を切り取ったかのような印象を受けます。しかしそんな普遍的な光景を、古人はなぜ刀装具の画題としたのでしょう・・・両者に共通していることが一つあります。それはどちらも当時の戦略物資だったという事。特に炭は今でいう石油製品。あらゆる金属加工から社会生活に至るまで必要なエネルギーを殆んど炭に頼っていたのですからその重要性は言うまでもないでしょう。
そんな炭焼図の本小柄ですが、どうやら季節は冬の光景のようです。小屋の屋根に雪が描かれています。その雪には銀色絵が施されていたようで、うっすらと色合がまだ残っています。そして小屋自体は屋根も含めて金色絵。製作時はそれなりに派手な絵だったようです。彫に高低差はありますが、けっして詳細に造り込んだわけでもなく、雑木や炭束はかなりアバウトに彫ってあります。雑木など一見、刺のある茨かなと思ってしまいます。この無造作にも思える構図が良いのかもしれません(私としては好感が持てます)。ただ、鑑定書の極が後藤となっていますから、当店の評価が低過ぎるのかもしれません。確かに紋の背は高い方ですし、七子の細かさ、地金の色からすると後藤もありかと。時代も当店は江戸中期としましたが、江戸前期まで上げても不思議ではありません。しかし、後藤の極も、時代の極も、何かが引っかかって頷けないのです。う〜〜ん、何でしょう? 見た目のイメージ、あるいは直感と言ったらあまりにも無責任でしょうか。