TOSOGU OPINION SITE
小柄
扇図(無銘)
商品番号 :KZ-052
江戸前期 桐箱入
50,000円
赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金銀色絵
長さ:9.62 cm 幅:1.37 cm 高さ:0.59 cm
半開きの扇子と二枚の扇面を描いた構図のデザイン、なかなか洒落たレイアウトです。(いや〜そうかな?と感じる方は当店のセンスを揶揄してください。) 左の扇面は金色で覆い、点々の鏨で唐草模様の蔓が描かれています。片や右の扇面は金色の縁取りで、中に枝菊を立体的に彫り上げています。扇面なのに絵を立体にするとは面白い表現です。これが動きを出しているというか、全体の構図にメリハリを演出しているのでしょう。その扇面に半分閉じた銀色の扇子を乗せてバラエティさを醸し出しており、よく考えられた構図となっています。中央左寄りに少し空きがあるのは明らかにバランスをとっていることがわかります。バランスで言えば、左の扇面が金色絵で塗りつぶされていることもそうで、各扇の見た目の重さや大きさを考えての所作・・・(絵や美術に関して全くのドシロートの感想です、大目にみてください。)
本小柄の時代はおそらく江戸前期頃。造込や色絵、デザインからみて江戸初期以前には極められないと思います。系統は・・・いろいろ考えられ、皆さんも交えて話をしたら白熱するかもしれません。脇後藤、加賀後藤、京金工・・・時代を考慮すればこの辺りが有力だとは思います。古後藤、古金工はちょっと無理が・・・でも審査に出したら意外な結果がありうるかもしれません。後藤をあえて挙げなかったのは七子の処理です。細かいのですが結構バラツキがあり、所々無理な辻褄合わせの箇所がみられ、けっして上手作の七子とは言えません。でもレイアウトは上手です。なので個人的には加賀後藤としたいところですが、脇後藤も捨て難い・・・それだったら京金工・・・やっぱりわからないので、みんさんが勝手に極めて楽しんでください。