古の刀装具 HOME
TOSOGU OPINION SITE
小柄

小柄

二疋牛図(無銘・古後藤)

商品番号 :KZ-071

江戸初期 保存刀装具 桐箱入

150,000円

赤銅七子地 共金据紋 金色絵

長さ:9.56 cm  幅:1.46 cm  高さ:0.75 cm

鑑定書に記載された共金据紋。おそらく地板(額内)と紋との造を指しているのだと思われます。紋と地板との間に隙間があり、確かに据紋です。それも鑞付ではなくリベット留による据紋かと。リベットらしき跡が、右牛は尾と後脚の踵との間に、左牛は右の角の左脇に、他にも怪しい個所があるのですが少なくとも2カ所に痕跡が(見当違いかもしれません)。ではそれが共金かと言われればちょっと疑問が。リベット留にしたということは紋を移植した証です。紋と地板を同時に作ったのなら高肉彫もしくは鑞付据紋でしょう。製作時期が異なれば共金とは言えません。それとも材料が同じ赤銅だから?・・・表記に難癖をつけるつもりではありません。共金据紋ということが正しければ、この地板と紋は室町後期の極めて古い作ということに。しかし地板の擦れ状態からそこまで古い作とは考えにくいのです。加えて紋は小柄の向き、・・・整合性があるとは思えません(いつもの、そういう作例もあるとかは無しですよ)。もちろん正しい可能性はあります。しかし誤っていれば時代の極に大きく影響します。本作に対する当店の見方は、本体と地板は笄直ではなく生の袖小柄で、本体が哺金ではなく金色絵の所作からも江戸前期以降の作。その本体に、古い紋を据紋にしたと考えます。単純に、「赤銅七子地、据紋、金色絵」とすれば混乱しないで済むのではないでしょうか。そして紋を時代と流派の極とするなら古後藤で・・・
造を無視して所作に注目すべきは七子地の処理。微細で整然と蒔かれています。特に小縁に接する地板の際。地板嵌込なら半欠けの七子粒など切断の痕跡があるのですが、本作は小縁に沿ってきれいに揃い、天地にしわ寄せがほとんどみられず、見事な技量です。この辺も古後藤という極の根拠にあるのかもしれません。紋自体も山高く谷低く、後藤家の作域らしく評価できるのですが、天地ギリギリに収まる大きさは後藤家らしくないのが気になるところ。しかし、移植した据紋ということを考慮すれば容認できる範囲なのかもしれません。

ページトップ