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小柄

小柄

布袋図(無銘)

商品番号 :KZ-078

江戸初期 桐箱入

50,000円

赤銅七子地 高彫

長さ:9.57 cm  幅:1.44 cm  高さ:0.50 cm  紋部高さ(最大):0.66 cm

派手さや華やかさは微塵もありません。額内の中央に丸味を帯びた膨らみと横筋があるだけの小柄です。七子もありません。全く無いのではなく、門際に少々と戸尻側に薄く擦り減った粒々が辛うじて確認できる程度で、かなり使い込まれてツルツル状態です。ルーペで拡大してみると、まるで最初から石目地で作られたかのような質感。ここまでくると、長年にわたり重宝されてきたことに本小柄も満足・納得の至りでしょう。その割には多少の打疵はあるものの、損壊した個所は見当たらず、それだけ丁寧に扱われてきたことを示しているとも言えます。
画題は布袋図、こちらも擦り減って一見しただけでは何の画題なのかわからないぐらい。角張った所がなく、最初はカブト虫が彫られているのかと勘違いしてしまいました。しかし、よ〜く見ると大きな袋に必死にしがみつくようにしている布袋様がいます(なかなか愛嬌のあるフォルムで笑ってしまいます)。背景に彫られた横棒は釣竿でしょう。恵比寿様ならわかるのですが、布袋様に釣竿・・・ん?、この竿はもしかして布袋竿。昔から重宝された根本から独特の形状をした布袋竿に違いありません。(興味のある方は布袋竿を調べてください。釣りマニア方なら御存知かと思いますが。) そうか、布袋様に釣竿(布袋竿)の組み合わせで語呂合わせ・・・遊んでますね、この金工は。フォルムもそうですが、コンセプトもユニークな作です。
造は二枚貼構造で裏打出。据紋ではなく地板と紋が一体となった無垢からの彫(もちろん圧出ていますが)なので若干重め。色は真黒の無赤銅。素材と紋の造込・配置からすると古後藤に極めたいところですが、果たしてどうか? 古金工が無難な極かもしれません。紋の向き、そして画題からすれば桃山期以前には持っていけませんが、それでも江戸初期は十分あります。まあ、見た目は想像以上に古く見えるので、室町後期はあると言われればあえて否定はしません・・・。

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