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小柄

小柄

枝柘榴図(無銘・古金工)

商品番号 :KZ-080

江戸前期 保存刀装具 桐箱入

売約済

赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金色絵

長さ:9.61 cm  幅:1.38 cm  高さ:0.47 cm  紋部高さ(最大):0.60 cm

地板の七子粒がかなり微細です。ただルーペで見ると横方向には綺麗に並んでいるのですが、天地方向はやや斜めにずれ込んで結構アバウトです。それでも肉眼では整った七子に見えるから不思議です。よく七子粒がどこからみても斜めに整列して見えるような、まるで機械で蒔いたような小柄がありますが、それは要注意です。型だったり機械で蒔いた七子で良くて幕末から明治、ヘタをすれば現代の作、それも数物や輸出用のハマモノです。(余計な話を、失礼しました。)
この地板の七子ですが、小縁の際の状態を見るとどうも地板嵌込方式ではなく、本体と一緒になった作りのようにみえるのです。七子粒の半欠けも見当たりません。小縁と地板との隙間も不明です。重さ自体もやや細身で薄い方とはいえ軽く感じます。本作は二枚貼合構造ですが、上の本体と地板は一緒の無垢かもしれません。時代的にはおそらく江戸前期、小柄の需要が増え始めた前後の、地板嵌込方式といった効率的な構造が進歩する途中の造かと推測しています。こうして見ると造や所作は小柄の時代を極める上で重要な見所にもなります(当店の推測が合っているかどうかはわかりません。しかし、その検証は試みているつもりです。もし正しいとなると、極に関する恐ろしい結果が待っていることにも・・・ふっふっふ・・・)
紋は鑞付据紋で、こじんまりとした構図に繊細な彫を施した柘榴の図が洒落ています。ただ、彫の緻密さがあまり感じられず、立体感もなくちょっと物足りなく感じます。そして配された位置が少し右に寄っています。枝の方向が左向きなので、その伸び代の余白を意識したレイアウトなのでしょう。こうなると、後藤家には極めることは難しく、古金工というのはある意味同感です。ある意味としたのは、時代的なことも含めて脇後藤の方がしっくりくる極に思えますし、京金工だって選択肢はあります。まあ、再審査に出して、せっかくの古金工極を敢えて変えるようなことは控えます。本小柄に対して失礼ですよね・・・反省。

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