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小柄

小柄

弓矢図(無銘・後藤)

商品番号 :KZ-081

江戸前期 保存刀装具 桐箱入

売約済

赤銅七子地 高彫(鑞付据紋) 金銀色絵

長さ:9.77 cm  幅:1.39 cm  高さ:0.45 cm  紋部高さ(最大):0.65 cm

目貫にもよく登場する弓矢の図。その構図も本小柄とほぼ同じデザインのものが多いようです。ただ目貫の場合は形状に制約があるため、弓がどうしてもこじんまりとなりがちですが、小柄の場合は多少ゆとりがあるせいか、ややゆったりと表現できるようです。もちろん、幕末期の大目貫は参考になりませんが・・・
で、定番の構図が配された本小柄の紋ですが、彫にこれといった見所が見出せないのですが、下手なわけではなく擦れもあって何となく物足りなさを感じます。弓と矢筒の彫口の対比は十分あるとは思うのですが、少し真面目すぎる作域に思えてしまいます。強いて言えば、1本だけ見えている矢の鏃が鏑矢になっているのが見所でしょうか(それとも弓矢の図って、みなこの構成なんですかね? 今度調べてみます。)。この紋が額の中央に程よく配置されていて、色合いも黒々としています。となると後藤家の掟通り・・・鑑定書も後藤の極・・・同意です。少し気になるのは紋の向きで、小柄であれば左を向いているのではと思うのですが・・・笄直を疑ってみましたが、その痕跡はなく最初から小柄として作られたようです。まあ、向きに関しては掟というより概念的な傾向が強いと当店は考えています。なので、今回は深く突っ込みません。 造は二枚張構造ですが、本体の重さも考慮すれば地板嵌込ではなさそうです。問題は紋が鑞付なのか裏打出なのかという点です。時代を考えれば鑞付ですがその痕跡がはっきりせず、しかし裏打出の痕跡も確認できません。唯一、弓の左端が地板に融合しているように見えるのですが、見方によっては同化しているだけで、なんとも歯がゆい所作です。強いて見るなら鑞付・・・矢筒の立上り部分が急すぎるからです。もし裏打出なら、もう少しなだらかな稜線になっていると思われますが、決定打にはなりません。ふう〜ただ、どちらにせよ、後藤家というより古後藤に近い作域かと推測している当店です。鑑定書より古い見方をするのは当店としては珍しく、先ほどの構造的な見方も含め自ら疑心暗鬼に陥っている次第です。

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