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小柄

小柄

唐墨図(無銘)

商品番号 :KZ-090

江戸中期 桐箱入

40,000円

赤銅波彫地 高彫(鑞付据紋) 金銀色絵 表裏哺金

長さ:9.75 cm  幅:1.42 cm  高さ:0.50 cm  紋部高さ(最大):0.60 cm

波地を背景に唐墨と筆を配した本作。唐墨を画題にした刀装具は室町期にもみられ、それほど珍しい画題ではありません。気になるのは波地との組み合わせ。唐墨と波、何か関連性やら意味合いがあるのでしょうか。わかりません。確かに墨を摺るには水が必要ですが、大海のような荒波はちょっと不似合いな感じがします。まあ、世の中の荒波を乗り越えるためには知識や余興(余裕)が必要だということを表しているのかもしれません。
摺りかけの唐墨に金色絵を、筆先の一部と露玉に銀色絵を施し、配色には工夫がみられます。それが効果的かといえばそれほどでもなく、波地の採用によって動きは感じられるものの、唐墨と筆のデフォルメ感とレイアウトがミスマッチしているような・・・無難で知的な感じは受けますが、中途半端なデザインが少し残念に思います。おそらく左側に配した黒い唐墨を単に真横に置いたのがいけなかったのかも。これに動きなりレイアウトに遊びを入れたなら、かなり違った印象を作り出せたのかもしれません。ただ、彫は巧みです。特に波地はパターン化された印象もなく、丁寧で見応えがあります。やっぱり波地には龍なり関連する画題を組み合わせたなら、普遍的だとは思いますが、この波地はかなり活かされたと想像してしまいます。
造は二枚貼合で地板嵌込の構造。紋は波地の地板に鑞付据紋です。一見、肉彫かと思えるほど巧みで、鑞付の所作が極めて上手です。時代は江戸中期頃かと・・・極は京金工、あるいは脇後藤・・・いえ、この画題を考慮すれば加賀後藤あたりに極まるかもしれませんね。

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