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小柄

小柄

瓢箪図(無銘)

商品番号 :KZ-096

江戸中期 桐箱入

売約済

赤銅七子地 高彫 金銀色絵

長さ:9.77 cm  幅:1.42 cm  高さ:0.51 cm  紋部高さ(最大):0.61 cm  重さ:30 g

瓢箪を画題にした小柄、瓢箪自体はこれといって珍しいものでもなく瓜もあれば鉈豆もあり、蔓系の植物は豊穣や繁栄を願っての意匠です。それぞれにデフォルメやレイアウトは千差万別ですが、本作の場合は伸び先と展開するデザインにちょっと不思議な構図を採用しています。その向きにこだわり過ぎたのか、植性や重力を無視したあり得ない構図が何ともユニークで面白いです。右から左に向かって伸びる枝葉、瓢箪の実も左向き・・・一見、違和感なく思えますが竹が絡むと厄介なことに・・・竹が横向きの支柱なら実は下方にぶら下がるのですが、強い風に流されるかの如く全ての実が左向きです。いやいや、これは縦の支柱で天に向かって伸びる様だろうと思い、本体を縦(縦小柄のように)にしてみると、実が逆さまに。これはないよなと思いつつ、180度真逆にしてみます。おお〜自然! しかし待てよ、小口は下向きだし、下方に向かっての構図は縁起でもなくよろしくありません。やはり横向きで、小柄の向きを強く意識した構図のようで、実はそれに合わせた構図のデフォルメなのでしょう。ある意味、巧妙な騙し絵のような手法といえますね。
構図でもう一つ、この竹ですが真っ直ぐ中央に一本・・・これは樋定規に似せている感があるのですがどうでしょうか。それとも芯を通す意味合いでしょうか。こればかりは作者しか知り得ないことですが、こういった支柱や柵が描かれたデザインをよく見かけます。この組み合わせのデザインは、意外に新しく江戸中期以降の作によく見られるようです。本作も見た目は古そうですが江戸中期頃の作。審査に出せば古金工に極められるかもしれません。まあ、京金工か脇後藤が妥当なところでしょう。造は二枚貼合構造で地板嵌込。紋は裏打出の高彫です。地板の裏側に凹凸がなく本体と地板の間に薄い平板が施されているようでしっかりとした造、当時はそれなりの上作だったと思われます。地金はかなり黒い赤銅地、金色絵だけに見えますが、実際は花と実の一つに銀色絵を施しています。状態は手擦が時代相応にあり、小口の棟側は地板が剥がれて少し浮き上がっています。この辺も加味して評価をしていただければ幸いです。

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