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小柄

小柄

鼓図(無銘)

商品番号 :KZ-099

室町後期 桐箱入

売約済

赤銅七子地 高彫 金鍍金色絵

長さ:9.74 cm  幅:1.42 cm  高さ:0.48 cm  紋部高さ(最大):0.71 cm  重さ:32.05 g

表側はツルツル状態で、あるはずの七子地の粒々は紋の低くなった隙間に残されている程度。使いましたね、この小柄。引退届をだせば直ぐに受領されそうですが、古美術品としてはまだまだ現役。いや。これからが本領発揮という代物です。紋の画題は鼓(つづみ)図。皆さんも見たことのある和楽器の一つ「ヨ〜、ポン、ポンポン、ポポンポンポン・・・」で能などの舞台で叩いているやつです。この小柄は、それをばらした状態を描いている構図です。中央に金鍍金を施されたダンベル(腕を鍛える鉄の塊みたいな道具)のような形をしたものが鼓の胴の部分、その両脇にある円形のものが皮、あとはそれを装着するための紐が描かれています。
しかし何です、磨り減っている割には、随分と紋が豊かというか盛り上がっています。しかもずっしりとした重さ。小口から中を探っても圧出の凸凹はなく平坦・・・もしやと思い横から見ると、紋の両脇にはわずかな傾斜があるではないですか・・・これは笄直? 紋の向きは左から右へ流れているような・・・でも色絵はウットリでもなく袋着でもなく桃山以前の所作ではない? あ、この色絵、金の鍍金でした。鍍金であれば室町どころかもっと古くからある手法です。これで問題は払拭できました。本小柄は室町期の笄を仕立て直した笄直です。
道理でここまで擦れているわけです。つまり古い貴重な小柄ですから、時代という価値を十分に加味しなければいけない作なのです。赤銅の地金だって真っ黒でかなり上質の材料です。彫口はこれといった見所を見出せませんが、漆黒の色をした上質の古笄だったことは明らかですから、小口を補修してまで使うはずですね。良いものは残るのです。当店など古後藤と極めても全然いけると思います。もちろん古金工で十分、高望みはいたしません。少し残念なのは裏面がちょっと荒れていることでしょうか。表に較べて艶がないというか・・・表がツルツルし過ぎているせいでそう感じるのかもしれませんが、ま、それだけ奉仕してきたということで大目にみてください。本作、何気無い作に見えましたが歴戦のツワモノです。どなたか雇い入れる方はいませんか、経験豊かで実に興味深い会話を楽しめると思います・・・。

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