古の刀装具 HOME
TOSOGU OPINION SITE
小柄

小柄

大根図(無銘・古後藤)

商品番号 :KZ-248

室町後期 特別保存刀装具 桐箱入

200,000円

赤銅七子地 高彫

長さ:9.76 cm  幅:1.46 cm  高さ:0.50 cm  紋部高さ(最大):0.70 cm  重さ:33.32 g

小高い丘のように盛り上がった紋は、無垢の高肉彫です。高低差のある彫口は紋に強い陰影を生み鮮やかなコントラストが印象的。大根の葉には、あったであろう毛彫の葉脈はほとんど見当たらず、それなりに磨耗しているはずですがこのボリューム感。作られた頃はかなりごっつくて太々しく存在感のある姿だったことでしょう。その摩耗した光沢は七子地によって艶の抑えられた地板との差異によって、より強調された陰影を生み出し、丸みを帯びた紋の古雅な魅力を放っているようです。
それにしてもどーんと迫り来るこの紋、強烈です。赤銅の色も真っ黒黒! かなり上質の材料です。作域はともかく古後藤に極にいくのはもっともかもしれません。それに劣らず本体の色も紋と同じく真っ黒。その違いは見た目には区別つかないほどです。本作は笄直の小柄。袖小柄に仕立て直したのはおそらく江戸前期から中期頃、加工した痕跡や本体の経年具合からは幕末までは下がらないと推測しています。
紋は室町後期の無赤銅の古笄、それなりの上作で数物ではありません。色絵の痕跡は一切なく、笄だった頃も真っ黒で大柄な姿が目に浮かぶようです。あくまで想像ですが、江戸初期に幕府のお達しで小柄の需要が高まった際、手元にあった笄を仕立て直したのではないかと・・・(この経緯は、別の機会に改めて書くことにします)・・・なので、この紋は無垢の高肉彫の笄を削り出して地板にしたものですから、手にするとずっしりとして重量もかなりの重さです。見た目にも全身黒づくめですから、渋くてダンディなイメージが印象的ですが、描かれた紋は決してダンディとは言えない大根です。存在感に惹かれてよ〜く眺めて見ると大根の絵、このギャップとアンバランスさが面白いのかもしれません。

ページトップ