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目貫
石榴図(無銘)
商品番号 :MK-004
江戸前期 桐箱入
50,000円
赤銅地 容彫 金銀色絵
表/長さ:4.06 cm 幅:1.63 cm 高さ:0.65 cm
裏/長さ:3.98 cm 幅:1.50 cm 高さ:0.64 cm
少し荒々しい所作が残る裏行。地板の厚みは薄くはありませんが、凹凸のいたるところに圧出した痕跡があり、金工の職人技が楽しめる目貫です。底面に残る粗いヤスリ痕は、高さを調整した後補の所作なのか、それとも最初からの加工なのか判別つきにくいのですが、角々に潰れたアールがありますので、後世に削られたと思われます。色絵を施した裾際に袋着で見られる溝が確認できますが、これは色絵を塗る範囲の目安だと思われ、時代的にも袋着の所作を考慮したものではないでしょう。製作時代は江戸前期頃、色絵の状態もよく、高低差があり写実的な彫が上手です。こんもりと高く丸みを際立たせた石榴の実は愛嬌があり、微笑ましい印象を与える一品です。圧出の所作と同じく石榴の彫の表現も少し古風な感じを踏襲しつつ、フォルムの取り方や色絵の手法は新しさを取り入れている感があり、古から新への以降を強く感じさせる作風です。