表／長さ：3.85 cm　　幅：1.37 cm　　高さ：0.46 cm
裏／長さ：3.85 cm　　幅：1.63 cm　　高さ：0.47 cm
赤銅地に鉈豆を表情豊かに容彫りしています。肉の薄さに加え金の袋着を施した造りは室町後期、少なくとも桃山期の作と考えて良いでしょう。それにしても、金板が剥がれて今に見せる様は、なんとも古風で味わい深い姿です。ちなみに金をかしめた（溝筋に入れ込んだ）跡がはっきりと確認できます。デザインの構図もちょっと独特で、鉈豆のサヤと葉を２層３層と横に重ね合わせ、全体としてラグビーボールの形状にしているあたりは、豊かさを願う願望と機能・実用性を兼ね備えた当時の目貫製作の基本をしっかりと踏襲しており、時代を色濃く表した好ましい逸品です。一見、サヤも葉と同じようなシルエットのため、それぞれを識別しにくいようですが、注意してみるとサヤには、結構リアルな豆の膨らみが取られているのです。この微妙な膨らみ・・・上手いなぁ、そして丁寧だなぁ、と思います。