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目貫

目貫

蜜柑舟図(無銘・古後藤)

商品番号 :MK-038

江戸初期 特別貴重小道具 桐箱入

80,000円

赤銅地 容彫 金袋着

表/長さ:3.97 cm  幅:1.65 cm  高さ:0.53 cm
裏/長さ:4.00 cm  幅:1.65 cm  高さ:0.49 cm
宝船ならぬ蜜柑を山積みした舟。目出度い画題には違いありません。大きさの対比は問うてはいけません。この手の画題はデフォルメありきで見るのが常。にしても、蜜柑は枝葉が付いた状態を舟に載せています。なるほど、実だけだと単調ですが枝葉が加わると新鮮さがでるというかメリハリが出て、金の実も映えて見えるわけです。
本作は真っ黒く薄板の赤銅地に金袋着(鑞付も考えられますが判別が難しいところです)、金の露象嵌、表の彫もなかなか細かく丁寧で枝葉の表現が巧です。背が低いにもかかわらず立体感が出ているのは、なだらかな船体に比して緻密で起伏のある蜜柑の彫にあるようです。いかんせん惜しいのは、その背の低さでしょうか。仕方ありません、どうやら後世に際端を削られているようです。愛好家や私達から見ると、いくら流行や邪魔だからとはいえ完成された姿を削ってしまうのは、なんとも残念でなりません。裏行を見ると本作は5厘から1分ぐらい削られた可能性があります。それを想像すると、生姿はさぞかし存在感があり、浮かぶ舟に見えたことでしょう。ちょっと恨み節になりましたが、本作の極は古後藤。彫の所作、材料の豪華さがその極を支えているようです。極は誰であれ、江戸中期以降の目貫と同じ扱いを受けても、本作の持つ匠の所作と古雅な印象は削れるものではないようです。

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