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目貫

目貫

自在鈎図(無銘・古金工)

商品番号 :MK-043

室町後期 保存刀装具 桐箱入

売約済

山銅地 容彫

表/長さ:4.20 cm  幅:1.48 cm  高さ:0.54 cm
裏/長さ:4.04 cm  幅:1.54 cm  高さ:0.57 cm
自在鈎とはまた珍しい画題です。道具類の画題は色々ありますが、囲炉裏の上に吊るして鍋などをかける自在鈎にどんな意味合いを持たせているのか興味深いところです。大概は仕事道具だったり神事や政、余興だったりしますが、生活に直結した道具となると意味合いが生々しいというか・・・待てよ、「自在」ということは、思い通りになる!ということでしょうか。ともあれ何となく微笑ましい画題に思えます。囲炉裏の火にあぶられて煤で真黒になった自在鈎や縄・竹などを様を想像すると当時のリアリティが伝わってきて、まさに実物をそのままミニチュア作品にした様に見えてきます。確かに彫の所作が見事です。竹や縄といった表現力に加え、それらを古い目貫定番のラグビーボール形状に絡めてデフォルメしたデッサン力に好感が持てます。抜孔も丁寧に施され数物とは一線を画す技術が見てとれて上手です。裏行もまた然り。地金は薄く圧出も均一で、背は余り高くありませんが裾際の括りも確認できます。足(根)も最初から付けられた痕跡もなく、山銅とはいえ古さが十分に感じられる上作です。若干、反っているのはおそらく、装着されたときの柄の形状に矯正されたもので、目貫の役割を果してきた証といえます。室町期という見せるための刀装具ではなく、実用のための目貫である本作。本来なら博物館などで、目貫の解説のための良い見本となるような代物です。どこかの学芸員様、この目貫を展示してはいかがでしょうか・・・あ、申し訳ございません。名もない刀剣店あたりの申すご提案ではありませんね。お許しください。

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