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目貫

目貫

秋草図(無銘・美濃)

商品番号 :MK-060

江戸中期 保存刀装具 桐箱入

50,000円

山銅地 容彫 金色絵露象嵌・銀露象嵌

表/長さ:4.30 cm  幅:1.47 cm  高さ:0.48 cm
裏/長さ:4.32 cm  幅:1.51 cm  高さ:0.51 cm
美濃の定番ともいえる秋草図の目貫です。本作もそうですが、美濃の目貫は画題をほぼ左右対称にデザインするのが多いようで、表裏での見映えが統一される反面、画一的な規格品のイメージは面白みに欠けるとも言えます。じゃー、どこまで対称的なのか、ちょっと本作の表裏目貫を較べて精査してみると・・・花や葉のレイアウトや構図、位置などは、大きさや形状・向きなど僅かな差異があるにせよほぼ対称。抜孔の数はどちらも16個で同数。やっぱり較べるまでもなかったようです。ただ、露象嵌は打ち込んだ数や色が異なり、抜け落ちた箇所も所々見られますがランダムに施しているようです。法量はどうでしょう・・・表目貫の方が長さ・幅・高さとも若干小さいのですが、これには理由があるようです。裏行を見ると底面が削られています。どうやら腰を低くするための後補のようで(ちょっと惜しい所作)、表目貫をの方を削りすぎたのでしょう。
裏行からは他にも面白い点が確認できます。抜孔のバリをタガネで削り取った跡、江戸中期の厚めの地板にしては以外に強い圧出の痕跡、足と支金は後補の所作(地板と異なる色合)など、時代や品質などを表す情報が埋もれています。ちょっと興味を引いた事実としては露象嵌の所作です。金の方は赤銅の粒に金色絵を施してあるのが周りに付着した塗りムラや擦れからわかります。銀の方は贅沢で、無垢の銀粒を埋め込んでいるのです。これは技術的なことなのか、はたまた費用的なものなのか、時代背景を考慮しないと導き出せない造り込みのようです。このような江戸中期の少しボデッとした本目貫。抜孔は多いものの平ったくてククリもなく、いたって普遍的な美濃の作です。ただ地金は鑑定書では山銅となっていますが、赤銅の可能性もあります(単純に山銅にしては黒いなあと感じるだけですが)。
そういえば、美濃といえば秋草図とくるわけですが、なぜ秋草なのでしょうか? 春草や夏草の目貫があっても良さそうなのですが・・・当店が経眼していないだけなのでしょうか。

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