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目貫

目貫

波浮木図(無銘・古金工)

商品番号 :MK-064

桃山期 保存刀装具 桐箱入

売約済

赤銅地 容彫 金袋着

表/長さ:4.22 cm  幅:1.72 cm  高さ:0.61 cm
裏/長さ:4.13 cm  幅:1.74 cm  高さ:0.61 cm
画題というより、その意味がわかりません。本目貫の構図を構成するのは、浮木(流木)と波と藻。この組み合わせの意味するところ・・・当店の浅はかなボキャブラリではさっぱりです。波間に流木が藻に絡まっているさま・・・虚しげな感じもするし、ありのままの一情景なのか、どちらかと言えば哀愁漂うイメージ。でも何か韻を踏んだような・・・盲亀浮木(もうきふぼく)がテーマならわかるのですが、亀は見当たらず・・もう、勝手に想像してください(なげやりな当店、批判は甘んじて受けます)。
意味不明な目貫ですが、造は見所が詰まっています。特に裏行の所作、かなり強いというより激しい圧出が見られます。鏨の跡がいたるところに出ていて楽しめます。表目貫の真中上部には圧出が強すぎて穴が空いてしまった箇所さえあります。最初は後世のヒビ割れかと思いましたが、そうではなく圧出の途中でできた穴のようです。外形が波の形状ということもあり、地板を薄くしようとして際端の処理に苦労した感が見え微笑ましくもあります。圧出の鑚痕に上手い下手があるのかわかりませんが、手間をかけた所作が十分に伝わる作です。表の色絵は金の袋着、作られた当時は波以外の流木と藻すべて金で覆われていたらしく、剥がれた箇所の際端に、袋着の名残である筋状の溝が残されています。現状では剥がれた部分も多く何の図柄なのかわかりづらく、ごちゃごちゃとして印象が良くないかもしれませんね。見た目はあまりよくないかもしれませんが、古い作であることは変わりなく、薄い地板、赤銅の色、袋着の所作、そしてラグビーボールの外形といい、桃山期以前の姿を今に伝えています。裏行の足(根)は残念ながら後補のようで、支金も含めて最初はなかったと推測しています。何とも捉えどころのない姿をした目貫ですが、中身は威風堂々の所作を見せてくれる本作。見た目にこだわる方は避けてください。目貫は顔じゃないとか、一風変わった趣が好みの方は、本目貫を認めてくだされば幸いです。

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