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目貫
南瓜図(無銘)
商品番号 :MK-069
江戸初期 桐箱入
50,000円
赤銅地 容彫 金色絵 銀露象嵌
表/長さ:4.44 cm 幅:1.36 cm 高さ:0.70 cm
裏/長さ:4.43 cm 幅:1.32 cm 高さ:0.65 cm
この画題は一体? 金の縁取りが妙に目立つ縦筋が入った不気味な球。周りは確かに葉っぱと蔓、ということは植物。まん丸だから瓜でもないし・・・南瓜! 丸い金の縁取りが浮き立ち過ぎて、最初は家紋かとも思いました。フットボール形の真ん中に丸い球なので、二つ並べるとまるで動物の目のようにさえ見えてきます。(ゾッとした方はご容赦ください)
まあ、南瓜と分かれば可愛いもので、変に見える理由を探すと・・・南瓜の外形だけに色絵が残ってしまったようです。本来は南瓜の実全体が金色絵で、盛り上がった中央部の色絵が擦れ落ちてしまっています。
造込はやや横長のフットボール形、中央の実だけがボッコリと高く、周りの葉と花・蔓も意外に細かく丁寧です。表裏とも数カ所に抜孔がありますが、裏には麦漆が残存した状態。その麦漆が抜孔を塞いでいる個所があり、あと何カ所かは孔が空いていると思われます。麦漆が取れている個所から裏行を見ると中々薄手の地板で圧出も強く、本目貫の古さがよく現れています。足は・・・ありました。表目貫の麦漆に少し露出しています。裏目貫には無く、その痕跡らしき跡からして、欠損した状態の時に麦漆を詰めたことがわかり、最低でも複数回以上装着され直したことが推測できます。
これらのことから時代は江戸最初期あたりではないかと思われ、極上品ではありませんが数物でもなく赤銅地の質、色絵の所作、彫・造込から中上品という当店の評価(みなさんの評価はいかがでしょうか)。じゃー肝心の極は・・・これは難問です。表裏対称に近いデザイン、少し細長のフォルム、そして彫口からすると美濃? いやいや、美濃にしては抜孔が少なく、南瓜という画題も引っかかります。後藤家?・・・画題のデザインに動きがなく材質にも疑問が。すると残りは古金工・・・妥当でしょうか? 審査に出せば、極がどこになるのか(当店のかすかな希望としては、江戸最初期の美濃を望んでいますが)・・・