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目貫

目貫

三つ巴紋唐草図(無銘・古金工)

商品番号 :MK-070

室町後期 特別保存刀装具 桐箱入

売約済

山銅地 容彫 金色絵

表/長さ:4.40 cm  幅:1.64 cm  高さ:0.44 cm
裏/長さ:4.44 cm  幅:1.62 cm  高さ:0.48 cm
まあ見事な唐草模様です。何が見事かって?・・・その唐草の枝が織りなす弧です。大小の円弧がひしめき合って密集し、きれいなラグビーボール形を構成しています。さらに拡がりをみせようとする芽先の様は、生命の息吹のごとき蠢きを感じさせます。この絡み合う円弧には、厳つさや尖った線がなく極めて滑らか。そして中央に三つ巴の紋が眼球のごとく配されています。三つ巴そのものも円弧で構成された形状・・・背景となっている唐草も円弧・・・作者のデザインコンセプトが見えてくるようです。ただ、三つ巴に施された金色絵は強すぎる感がありますが、家紋をあしらった目貫本来のあり方からすれば何も間違った所作ではありませんし、ごく自然な所作です。
腑に落ちない点とすれば、ウットリや袋着ではなくアマルガムによる金色絵という点で、そこだけ見れば時代を下げざるを得ません。しかし、表目貫の紋際の唐草に色絵の塗りムラがあります。もしかしてこの色絵は後補の可能性が・・・なにせ裏行からみた地板の薄さ、丁寧で強い圧出、多数の繊細で細かな抜孔、これらを見る限り桃山期は下らないだろうと思える造込です。(ちなみに足は欠損していて、その名残が確認できます。)この見方が正しいとなれば、色絵は後補で本来は無赤銅ならぬ無山銅(当店の勝手な造語)の目貫。先ほど言った紋の「強すぎる感」のイメージはなくなり、実に洒落たデザインになるのではないでしょうか。
鑑定書における本目貫の極は古金工。三つ巴の紋がそうさせたのかもしれませんが、もしこれが蝶紋や虫の画題だったら古美濃とされたかもしれません。この唐草は極めて美濃風に見えます。腰の高さも低く、造も古美濃を彷彿とさせる目貫です。(まあ、この捉え方は当店の曇った眼に

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