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目貫

目貫

唐花図(無銘)

商品番号 :MK-075

室町後期 桐箱入

売約済

山銅地 容彫 金ウットリ

表/長さ:4.06 cm  幅:1.69 cm  高さ:0.53 cm
裏/長さ:3.86 cm  幅:1.56 cm  高さ:0.57 cm

造はさすがに室町後期だけあって、圧出は強く見所が詰まっています。随所に鑚跡が見てとれ、叩き過ぎたのか裏目貫には小さな破れが一個所、表目貫の裾にも小さな欠損がありますが、金工の手技を感じるのは十分すぎる所作が楽しめます。もちろん根(足)はありません。そして色絵はウットリです。中央部の花柱に施された金板はかなり剥がれていますが、裏目貫の左端の葉に面白い所作が残されています。葉の外側にぐるっと溝が彫られているのです。これは金板をカシメる(挟み込む)ための溝でしょう。でも金板のかすかな残片も見当たりません。最初から施さなかったようで、表目貫の同じ個所にはあることを考えると、表裏の目貫を取り違えないようにするための工夫かと思われます。そういえば、天地を逆にしても違和感のない形状です。
その花の形状ですが、これまでに見たことのない図柄、初見です。植物の本を開いてもネットで調べても、これだというものが見つかりません。ん〜、どことなく妖しも惹かれる花です。中心にある扇状のものは花柱(雌しべ・雄しべ)? 周りの五枚の葉っぱ見たいのが花弁? 地に七子が蒔かれているし葉脈が彫られていないのでやっぱり花弁?・・・などと探りあぐねていたら、桐箱に画題が貼ってあるのを見落としていたようです。それには「唐花」の文字が・・・唐花? 調べたらなんと中国から渡来した花文様のことで、日本ではよく家紋なんかに使われているデザイン形状だったとは。要は想像上の花・・・てことは、本目貫は文様から生身の花を創り出し具現化した逆バージョンということになります。参りました。古人の発想力とデフォルメ術に拍手です。それにしても薬草のような毒々しくも魅惑の花に思えるのですが、皆さんはどう感じられますか。この際、画題を「魅惑の妖花」としたいところですが、批判を浴びそうなので「天照の遥花」では?・・・(意味も脈絡もありません。無視してください。)

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