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目貫

目貫

耳長兎図(無銘・古金工)

商品番号 :MK-081

江戸初期 特別保存刀装具 特別貴重小道具 桐箱入

売約済

赤銅地 容彫 金色絵

表/長さ:4.44 cm  幅:1.20 cm  高さ:0.55 cm
裏/長さ:4.52 cm  幅:1.37 cm  高さ:0.56 cm

愛らしい耳長兎の目貫です。兎の耳をここまで長くデフォルメした姿は一種独特のイメージを生み出しています。その創作力に拍手を送ります。なにせ、室町後期にはこのデザインが作り出されているのですから、現代のデザイナー顔負けのセンスを褒めないわけにはいきません。戦国の世といえども、クリエイターの創作力と遊び心が生きていた証です。
本目貫の形状は耳長兎の亜流でしょう。本歌とされる耳長兎は真正面から描いた対称性のある姿をしています。それを基本とすれば、本目貫の形状は左右向き合うように少し斜めからの構図で耳の向きもややランダムにとっています。その分、動きがありますが本歌のように象徴的なインパクトは薄れて感じます。それでも体の膨らみ具合、特に肩甲骨あたりの丸くこんもりと盛り上がった肉置は可愛らしいというかGOODな印象。魅力的です。表の彫はいたって簡素。丸味を帯びたシンプルな肢体なので必然的に大人し目の彫になりますが、それでも目や顔の表情、足先などはきっちりと彫り込んでいます。裏行の圧出は形状が形状なのでそれほど強くはなく、地板も薄くはありませんが厚いわけでもありません。底面に所々ヤスリの跡が見え、これは後世に削られたのか最初からの所作なのかはわかりません。なので、わずかに擦られている可能性はあります。足は色合いからして後補の所作でしょう。この形状ですから足がなくても十分に強度はあると思われます。この足は装着した際のズレ止めだと推測されます。
地板の色合いは真っ黒ではなく、やや赤みを帯びた赤銅地。デザインも亜流で本歌を基にした派生版・・・ここからの極は後藤家に行くには強引過ぎます。鑑定書も案の定、古金工の極・・・でしょうね、同感です。時代は造込を考慮すれば江戸初期頃だと思われます。桃山期まで上げたいところですが、地板の厚みが拒みます。ちなみに本目貫には特別貴重の認定書もついています。そこには古後藤の極が・・・しかし、さすが日刀保さん、時が経ってからとはいえ、ちゃんと見直して古金工へと修正したようです。

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