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目貫
葛図(無銘・古金工)
商品番号 :MK-085
江戸初期 保存刀装具 桐箱入
60,000円
山銅地 容彫
表/長さ:4.16 cm 幅:1.27 cm 高さ:0.41 cm
裏/長さ:4.41 cm 幅:1.37 cm 高さ:0.36 cm
大きく抜孔が空いた山銅時の目貫。スッカスカに空いています。腰は低くペタッとした造なのでククリも認められませんが、足(根は)ありません。この手の造込は古美濃によくある形状ですが、鑑定書の極は古金工となっています。確かに古そうです。山銅の色合いといい擦れた彫といい見た目は室町後期の作に見えます。しかし裏行を見ると、そこまで古い造込とは思えないような・・・一見、地板は薄く見えますが、これは抜孔の影響で薄く見えているようです。底の縁を見ると室町期の目貫ほど薄くはなく、ややボテっとした厚みで江戸最初期の作と見た方が無難な感じがします。しかし、圧出は結構な責め方でかなり巧みに圧出ているようです。品質的には江戸最初期の数物の類と言ったところでしょうか。とはいえ、この古風な風合いは魅力があります。少し細長い形状、枝葉と花を線状で構成した本目貫、見た目は美濃そのものでしょうが、日刀保さんとすれば地金の山銅(色合い)を拒んだのかもしれません。(もしこの地金が金無垢だったら、間違いなく美濃の極に・・・)
画題は葛。唐草に見えますが、葉と花の形状から葛に間違いないようです。現代では厄介な野草とされますが、当時は違った捉え方をしているようです。どんどん広がる逞しさに加え、藤花に似た花も好まれたのでしょうね。おまけに葛粉も取れます(当時も葛粉を食べたのでしょうか?)。
彫自体はそれほど緻密ではなく、擦れの影響もあるでしょうがどちらといえばアバウトで素朴な印象です。この目貫は一番の見所である抜孔の構成力(デフォルメ)を褒めるべきかもしれません。まあ、抜孔自体が面倒でしょうし手間のかかる所作ですから、数物とはいえノッペリとした孔のない類と一緒にはできませんね。