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目貫
汐汲桶図(無銘・古金工)
商品番号 :MK-086
室町後期 保存刀装具 桐箱入
170,000円
赤銅地 容彫
表/長さ:3.97 cm 幅:1.47 cm 高さ:0.57 cm
裏/長さ:3.97 cm 幅:1.55 cm 高さ:0.57 cm
地金は漆黒の赤銅地、それを極薄の地板にして圧出した無赤銅の目貫、かなりの上手作です。思わず、巧いといいたくなる質感が漂います。無赤銅ですから見栄えがしないと思うのは早計です。まずは裏行を見てくださいと言わんばかりの圧出と地板。細い紐さえも圧出して窪んだ溝が確認できます。数物にはない丁寧で妙技を尽くした所作が楽しめます。責も強く均一で、抜孔も何のその、見事な技術を見せつけられます。本目貫の造込は、室町期の造はこうだと言わんばかりの所作で、文句なしに上出来の逸品。あまり褒めすぎるのも良くない?(裏行の造に興味のない方は、表のデザインを肴に愚痴を垂れていただければ幸いです。まあ、色絵がない味気のない無赤銅ということでご了解を)
当店からすれば、表のデザインも褒めたいところ・・・確かに画題は汐汲桶ですから、どちらかといえば野暮ったい画題かもしれません。それでも桶の各構図、一個一個の向きや絡みつく紐の形状は、躍動感とバランスがマッチした巧さを感じます。そこに施した彫は繊細で緻密です。あいや〜、表も文句なしです。やるではないですか・・・で、鑑定書見ると古金工の文字が・・・いやいや、古後藤ではないのですね? 古金工ですか? 当店が持ち上げ過ぎているのかもしれませんね(ちなみに当店なら宗乗あたりに極めてしまうかも・・・実在していたらの話ですが)。古金工・・・ちょっと残念ですが、天下の日刀保さんの極ですから尊重したいと思います。
お世辞は抜きにして評価できる本目貫。ぜひ皆さんにこの目貫の裏面を見ていただいたとおもいます。あ、もちろん、表も。