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目貫

目貫

芥子図(無銘)

商品番号 :MK-088

江戸初期 桐箱入

60,000円

赤銅地 容彫 金袋着色絵

表/長さ:3.70 cm  幅:1.46 cm  高さ:0.61 cm
裏/長さ:3.65 cm  幅:1.42 cm  高さ:0.61 cm

芥子坊主を三つ組み合わせて、表裏のレイアウトをシンメトリー風にデザインした本目貫。美濃目貫によくみられる構成ですが、まるっきり左右対称ではなく表目貫と裏目貫を区別するために一部デザインに工夫がされています(表裏の形状が異なるのは当然と言えば当然ですが)。表目貫は真中の芥子坊主に、裏目貫は右の芥子坊主に殻の破れを描いています。見えている細かな粒々の実は、よく見ると小柄や笄の地板に蒔かれている七子粒と同じような形状で、おそらく七子用の鏨で打ったものでしょう。これを作った金工または工房は小柄や笄も手掛けていたと想像できます(これも当たり前のことでしょうね)。
それにしても黒い地金です。漆黒に見えます。殻の破れと花にだけ金色が鮮やかに映えていることで、余計に黒く見えるのかもしれません。その金色絵は、どうやら袋着のようです。金板の端を留める切込溝はあるような無いような・・・しかしこの金板の破れ方は袋着だろうと思われますが、焼付の可能性もないわけではありません。時代は袋着の手法が見られなくなるあたりの江戸最初期ではないかと推測しています。(こう書けば、袋着でも焼付でも色絵でも逃げられますので安心。卑怯と言わないでください。江戸最初期は技術が進化し、新旧の技法が混沌とした時期で極にとっては都合の良い、あ、いえ、難しい時期なのです。)
造は裏行を見ると地板が少し厚く見えますが、何のそのかなり薄い造。厚く見えるのは底面が削られているせいです。ちょっと残念ですね。それでも圧出はかなり強めで、三つずつあるボールのような底には強く圧出た鏨の跡がハッキリと確認でき見事です。この所作、頑張っていますね。そして極はというと、当店は古金工とみていますが審査では京金工の線が強いかと思われます。なぜかって・・・時代に見合わずキレイなので若く見られてしまう可能性が高いのです。どうやら本作は洗われているようです。見た目は確かにキレイで保存状態も良く見えますが、極める際にはこれが仇となることも否定できません。なるべく埃を払う程度にした方がよいと思うのですが・・・

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