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目貫

目貫

火縄銃図(無銘)

商品番号 :MK-144

桃山期 桐箱入

売約済

赤銅地 容彫

表/長さ:4.17 cm  幅:1.50 cm  高さ:0.62 cm  重さ:4.07 g
裏/長さ:4.11 cm  幅:1.45 cm  高さ:0.62 cm  重さ:4.23 g

火縄銃をモチーフとした画題は、小柄・笄・目貫等でたまに見かけることがありますが決して多くはありません。火縄銃自体は室町期からあるわけで、当時の最先端の武器であり、もっと刀装具の画題として使われても良さそうなものです。弓矢図の刀装具はかなり多いのに比べ極端に少ないのは何故なのでしょう。安易な想像かもしれませんが、刀装具を作る金工側にとって、最先端の最重要な武器であったであろう火縄銃に接する機会が少なかったのかもしれません。であれば、火縄銃の刀装具を装着できた武士は限られた人物と考えられます。かなり高位の侍や火縄銃に関わった専門家あたりではないかと・・・しかしそれでも、古い作例に多く江戸中期以降の比較的新しい作を見ないのはどういうことか?という疑問があります。これはもう歴史の先生方に教わるしかありません・・・
本目貫もそんな古い作例の一つです。裏行を見ると、薄い地金に強い圧出が確認できます。裾の括りも十分に取られて腰も高目です。小さいながら欠損状態の足(片方はほぼ欠損)も見えます。底面も削られてはなく状態は極めて良好。表の彫口は思ったより緻密で、各部位をはっきりと特定できるほど丁寧に仕上げており、結構な正確さで鉄砲図の類の中でもかなりリアルにデザインされています。それに抜孔だらけの所作も見事ですが、外形のフォルムはちゃんとラグビーボール状に整えられて古い作例を踏襲しているところが好ましいですね。
制作時代は地金や作域を考慮すれば桃山期あたりかと。もう少し地金の厚みが薄ければ室町後期まで上げても良いのですが、足(生だと思われます)もあるので少し時代を下げて見ています。その地金の色ですが赤銅とはいえ漆黒の黒さはなくやや赤みがあります。極を考えると作風・作域はさも後藤家風なのですが、う〜ん、ちょっと躊躇します。やはり古金工と見るのが良いと思われるのですが。

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