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目貫

目貫

梅樹図(無銘・古金工)

商品番号 :MK-256

桃山期 保存刀装具 桐箱入

150,000円

赤銅地 容彫 金袋着色絵

表/長さ:4.57 cm  幅:1.60 cm  高さ:0.64 cm  重さ:4.81 g
裏/長さ:4.16 cm  幅:1.65 cm  高さ:0.64 cm  重さ:4.76 g

梅樹の見事な枝っぷりが印象的です。老梅でしょうか、年月を重ねて屈曲した根元の幹は逞しく力強さが伝わってきます。そして、そこから延びた花を咲かせる小枝は、衰えることのない生命力を感じることができます。表裏の目貫どちらのデフォルメも見事な仕上り・・・極めて上手なデザインだと思います。枝振りの展開、花の配置、表裏を意識したフォルムは下絵の段階でかなり詰めて描かなければ、ここまでの作域には達せられないはずで、デザインのオリジナリティも十分伝わってきます。
彫口も大胆かつ繊細で、幹や枝をザックリ彫り上げ、そして細かな樹皮の表情にも鑚使いの巧さが現れています。花は以外にも簡素な彫ですが、その分だけ存在感を出すことに成功しています。色絵は金の袋着、桃山期の作ですから当然ですが、これがもし普通の色絵なら江戸中期に見られるほどの健全度。僅かに剥がれた個所が風情と雅味を醸し出しています。いいですね、この目貫、好みは別として秀作だと思います。
裏行は薄い地板に強い圧出が見てとれ、好印象。括りも十分にあって、さすがに桃山期の上手作、申し分ありません。足(根)は陰陽根の形式を踏襲していますが、片方(陽)が角状ですから多少繕った程度の所作だと思われます。しかし、色合いからは支金も含めて生の所作と推測されます。
総体に褒め上げるだけの作域をみせる本目貫ですが、表裏で長さや外形にやや差のある形状は桃山期の作としてはちょっと珍しいかもしれません。たぶんに抜孔の多い造込も関係しているとは思いますが、逆に捉えればそれだけ拘った斬新な力作とも言えます。そうなると、作域を古後藤には持っていきづらくなります。赤銅地の色合いもそれなりに黒く、また見事な彫口なんですが・・・抜孔だらけなので古美濃も考えられますが、如何せんデザインが美濃風ではありません。やはり鑑定書にある通り古金工が妥当でしょうね・・・日刀保様に同意。

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