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揃金具

二所物

馬図(無銘・傍後藤)

商品番号 :SK-005

江戸中期 特別貴重小道具 桐箱入

売約済

小柄/赤銅魚子地 高彫(鑞付据紋) 笄/赤銅魚子地 高彫(据紋)

小柄/長さ:9.65 cm 幅:1.42 cm 高さ:0.62 cm
笄/長さ:20.6 cm 幅:1.23 cm 高さ:0.50 cm
画角の中央に配された駿馬、笄は右向きに、小柄は左無に、掟通りに置かれ、色絵は目玉だけですべて黒一色です。目立った疵もなく極めて状態の良いオフィシャル用の二所物です。地金は赤銅と書かれていますが、紋以外は四分一のような赤銅のような判別に迷うので、少し黄みがかった赤銅としておきます(まあ、この色合が江戸中期以降の赤銅の特徴といえば誤解を生みますね)。
この二作、紋といい地金といい、そして七子の所作も、時代的にも合っていて、総体に生の二所物として作られたと思われます。「思われます」としたのは、紋の据え方に違いがあるからなのです。笄の方は紋を表側からリベットで二カ所を留めてあるのが確認できます。わかりづらいのですが、ルーペだと見分けがつきます。しかし小柄の方は、紋をいくら精査しても、リベットの跡が見つかりません。裏からのリベット留(空洞を確認する術が現在ありませんが後日X線で確認してみたいものです)、もしくは鑞付据紋です。見た感じでは鑞付据紋の可能性が高いと思われます。・・・ということで、二所物として作られた2本なのに、どうして紋の所作が異なるのでしょうか? これには答えに窮します。わかりません。ありうる例としては、笄の鑞付した紋が浮いてしまい、仕方なくリベットで補修した・・・これに似た小柄があり、ある刀匠の方から説明を受けたのですが、鑞を溶けるぐらい熱すると、他の部位(例えば額の地板)も一緒に剥がれてしまうので、部分的に補修するのならリベット留は合理的だ、ということです。・・・真偽の程は別としてとても魅力的な推測ですし、正しい気がします。でなければ、この二作は、元々二所物ではなく、取り合わせの二所物となってしまいます。その可能性もない訳ではありませんが、ここまでそっくりで掟通りだと否定したくもなります。

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