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揃金具

二所物

山羊図(無銘)

商品番号 :SK-013

江戸前期 桐箱入

120,000円

笄/赤銅七子地 高彫 金色絵  目貫/赤銅地 容彫 金色絵

笄/長さ:21.2 cm 幅:1.24 cm 高さ(紋部最大):0.52 cm
目貫/[表]長さ:2.70 cm 幅:1.35 cm 高さ:0.46 cm [裏]長さ:2.65 cm 幅:1.28 cm 高さ:0.49 cm

山羊を画題とした笄と目貫の二所物。当然のごとく合わせ技で一組にした取り合わせ物です。構図といい金と赤銅の色絵といい風合いが非常に似通っていて、手にとって見比べないと生の二所物に見間違えそうですが、でも、別物なのです。あからさまに異なるのは色絵の手法です。。笄の色絵はアマルガムによる色絵。なので金板の剥がれた個所が擦れた痕跡のように残っています。片や目貫はというと、金板がペリッと破れて剥がれたようになっています。これはウットリや袋着によくある痕跡。しかし本目貫の金板は、ウットリや袋着に見られる縁を留めるための裾際の溝もなく、底面にまでグルっと到達しています。そうなると、考えられるのは金板の焼付です。金板も厚く、底面から見ると金板が貼り付いている様子がわかります。しかし、もう一つの可能性も・・・元々、本目貫はウットリか袋着だったのが、後世に底面を金板を留めていた個所まで削られたことが考えられるのです。もしそうであれば、少なくとも1ミリ以上は削り込まれたことになります。確かに本目貫の腰は低めで、括りもありません。底面から見た板厚も、足先はベタッとして厚かったり溝が浅い反面、背や他の個所はかなりの薄さです。生姿にしては強弱があり過ぎ、ちょっと不自然・・・あくまで可能性としてですが、本目貫の色絵はウットリまたは袋着なのかもしれません。この推測は時代の極に大きく影響します。なので、当店は無難な方に逃げます。
え〜、本目貫は金焼付という方向で、他の所作もみて見ます。裏行をみると、圧出は強く責めており板厚はかなりの薄さ、見事です。根は一応陰陽根ですが、角棒と丸穴の組み合わせですから、なんちゃって陰陽根。後世につけられたものかもしれません。表の彫も陰影深く、特に足の彫り込みは繊細で見応え十分です。そして赤銅の色も黒々として好印象。時代はおそらく桃山期から江戸初期頃かと(金焼付からは江戸最初期とみています)。笄は少し時代が下がって江戸前期から中期にかけて作かと推測しています。長さがほぼ定寸の七寸で、体配が薄く、色絵からも到底、桃山期までは上がられません。紋は確証はありませんが、鑞付の据紋。紋の周りをぐるっと七子を蒔き直し整えた所作があります。その七子はかなり細かく整然と蒔かれてそれなりの作域を見せています。紋自体は目貫ほど緻密ではありませんが、毛彫の所作はこちらの方が細かいところまで表現しています。ただ、赤銅の色合いは、黒いとはいえ目貫ほどではない印象です。
本作には鑑定書がついていませんが、当店の安易なサイト上鑑定では・・・笄は後藤。(最近、日刀保様は厳しいと聞いているので怯みます。) 目貫は古後藤か古金工。誰か勇気のある方、日刀保様へ審査を出して見ませんか。ただし、個銘・流派の極に対して当店の予想はあてになりませんが・・・とはいえ、極は別にして保存刀装具への合格は保証いたします。ご相談ください。

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