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鐔

貝尽くし図(無銘・正阿弥)

商品番号 :TB-011

江戸後期 桐箱入

売約済

入木瓜形 鉄磨地 赤銅素銅据紋象嵌 毛彫 金色絵 土手耳 両櫃孔

縦:8.46 cm 横:8.28 cm 切羽台厚さ:0.45 cm 耳際厚さ:0.60 cm
たぶん、サザエに鮑、蛤・・・数種類の貝を無造作にあしらったデザインは、決して上手いとはいえません。いえ、正直ヘタクソです。まるで小学生が描いた絵のようです。貝の形もそうですが、大きさもレイアウトも適当・・・まっとうな下手作です。ここまで酷評すると、本鐔を紹介する意味なり売る気があるのか言われそうなので、敢えて褒め言葉を。見事なヘタウマ! こういうのを味があるというのです。しかし、ここまではデザインに関してのこと。
何ともヘタウマな貝は据紋象嵌、地より1ミリ弱盛り上げています。ハッキリとは断言できませんが、その素材も複数使用している気がします。一つは素銅、二つ目は赤銅、そしてもう一つは四分一のような?・・・その象嵌に金色絵を施した貝がいくつか見られます。ほ〜ら、こうなると手の込んだ鐔に思えてきませんか。ただ、これが素銅に各色絵を施したものなのか、それとも素銅、赤銅、四分一の塊を象嵌したのかが判断の別れるところです。当店は色の擦れ具合から後者の可能性が高いと推測しています。象嵌の所作は上手だと思います。加えて、わざと扁平にした地、歪な猪目透、打返風の土手耳、どれもが“敢えて”そうしたかのような所作に思えてきます。因みに、所々にある凹みは、おそらく“ヒトデ”を表現したものです。よく見ると星形が確認できます。ここまで辻褄というか、言訳というか、戯言を並べれば、本鐔を侮ってみることができなくなります(かなり強引な誘導勧誘)。貝のデザインは別にしての話ですが。
本鐔の時代はよくて江戸後期、幕末頃だと思われます。微かに銘が残っており「本阿弥」と刻られています。この無骨さというか素朴さ、そして風合いから会津正阿弥と推測していますが、いかがでしょうか。であれば、海を見たことない、ましてや活貝を見たことのない鐔工が、貝を画題として作ったのが本鐔だとすれば、ヘタウマなデザインも頷けるのではないでしょうか。(最後まで言訳で終ったような紹介で失礼しました)

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