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鐔

破扇散図 武州住正冨

商品番号 :TB-027

江戸後期 保存刀装具 桐箱入

130,000円

丸形 鉄磨地 鋤下彫 小透 糸透 金布目象嵌 角耳小肉 両櫃孔

縦:7.93 cm 横:7.85 cm 切羽台厚さ:0.45 cm 耳際厚さ:約0.40 cm
糸透の鐔というのは、いつ見ても驚かされる所作で、一体どうやって筋孔を彫ったのかその技術を知りたくなります。本鐔も髪の毛一本も通さないほどの隙間で、光を通して確認しないと、孔が空いているのか判らないほどの狭さなのです。よく知られている水戸金工による糸透は、書籍や文献等に出てきますが、本当にそれで作れるのか俄には信じ難いほどの技法で、どうしても「物理的に無理だろ」と頭の中で想像してしまうのは私たちが現代人の思い込みなのかもしれません。現に、こうして目の前に現物があるのですから、手法はどうであれ、その所作を賞讃したいと思います。
本作の画題は破扇となっていますが、これと殆んど同じデザインの正冨の作があるようで、そちらの画題は雪持傘。どちらでも所作に差はなく、布目象嵌が施された骨組み以外の形状は雪持のようで、それからみれば「扇に雪」は合わず「傘に雪」が妥当かと。やっぱり傘にしか見えませんね。それに小透で破れている様を描いている訳ですから、「雪持破傘散図」が納得の画題・・・ムキになって紹介することではありませんね、失礼しました。その象嵌が剥げ落ちたように見えているのは、破れた様を表現したデザインであって欠落ではなく、そのイメージを十分に感じとれます。
正冨は武州伊藤派の一人。糸透も特徴の一つとする伊藤派ですから、本作の見事な糸透も頷けます。レーザーなどの現代機器がない時代に、このような所作を施すその技倆に改めて感服です。

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