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鐔

菊花に短冊図 貞廣

商品番号 :TB-031

江戸中期 桐箱入

20,000円

撫木瓜形 鉄槌目地 鋤出・甲鋤彫 小透 角耳小肉 両櫃孔

縦:7.62 cm 横:6.72 cm 切羽台厚さ:0.40 cm 耳際厚さ:約0.43 cm
何とも締まりのない数物の板鐔に見えます。あくまでデザインとその彫に関しての感想ですが、大概の人はおっしゃる通りだと頷くことでしょう。そうです、ダサいと思います、本鐔は。菊花の彫は決して上手いとはいえず線を入れただけ、短冊の小透も外周に線を入れただけ、そして耳際近くを鐔の外周に沿って入れた太めの甲鋤彫は均一どころか強弱があり、寂しいので周りを彫ってみました・・・そんな手合いなのです。これなら短冊の小透だけの方がまだ良かったかも(も〜ボロクソに評する自分が後ろめたい気分です)。でもこの評価はデザインに限ってのこと(鐔はデザインが全てだ、という人にはここでノックアウトです)。
じゃ〜評価できるところはないのかと言われれば・・・あります。鍛えです。槌目地に鍛えた跡が鐔全体に見てとれ、その辺の鋳物の鐔と一緒にしないでくれとばかりに、なだらかな凹凸や肌目が主張しています。なので、見た目とは裏腹に低めの良い音が響きます(音が良いからといって良い鐔とは限りません、あしからず)。耳には鉄骨も現れ、鍛え上げられた強さが伝わってきます。ある意味、これが下級武士にとっての実戦的で本来使っていた鐔の姿だと・・・(自信はありませんが)そう思わされる鐔です。 作者の貞廣を刀装金工事典で見ると、「・・・江戸中期・尾張の鐔工で良工、切羽台の右側に二字銘を記し、竪長の丸形鐔に小透、鋤出彫、象嵌の工法で草花の文様を彫る・・・」とあります。おお〜本鐔の特徴と合っている。ではこの菊花は鋤出彫? ん〜あまりにも簡素で判別できませんが、デザインだけでなく実用性といった本質からもこの鐔を見ていただければ幸いです。

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