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鐔

七宝紋散図 埋忠九左

商品番号 :TB-043

江戸中期 保存刀装具 桐箱入

100,000円

堅丸形 鉄地 鋤下彫 陰透 金銀布目象嵌 赤銅覆輪耳

縦:7.41 cm 横:7.05 cm 切羽台厚さ:約0.33 cm 耳際厚さ:約0.55 cm
埋忠と聞くと、まず明寿が頭に浮かび、さも見事な鐔を連想してしまいますが、ご存知の通り埋忠家は江戸期までずっと続く金工で、その作風も出来も一概には語れません。本鐔には埋忠九左という銘が刻られていますが、九左は九左衛門と同じで埋忠本家の通称です。名鑑には桃山期とありますが、いやいや鵜呑みにしてはいけません。江戸期まで続くと言った通り、始まりが桃山期であって、一部を除きほとんどの鐔はその限りではないのです。本鐔も造込の姿、デザイン、錆状態などから江戸中期頃の作と思われます。もちろん代別や個銘は不明です。
造は太めの覆輪があるせいか意外に武骨に感じます。鍛も所々細かな凹みがあり、実用向きというか見映えを気にしてない仕上げ。中心櫃孔から上下に伸びる2本組の彫溝は何を表しているのかわかりません。デザインとしての所作ならば褒められた彫とは言えない気がします。左右にある陰透(たぶん雲板の形)に呼応したデザインにも思えません。画題となっている七宝紋は布目象嵌の宿命通り掠れてしまい、銀などは名残状態。位置もランダム・・・どれもがボロクソな評価のオンパレードですが、裏を返せばそこが本鐔の良さであり、愛すべき見所なのです(テメェは何をのたまわっているんだと言われそうです)。この鐔、使ってなんぼの鐔、埋忠本家にも身近な作があるのだと感じさせる鐔なのです。。紋はおそらく買主の家紋、でなければ仏教の加護を願ったもので、購入時に施されたと思われます。ごっつい覆輪も、実用にされたことを示している気がします。実用といえば小柄櫃孔がまさにそうで、小柄の出入を考慮して内側の縁を裏から表方向に少し斜めの角度で切断してあります。もちろん、生ではなく後補の櫃孔です。

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