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鐔

九曜紋唐草透図(無銘・正阿弥)

商品番号 :TB-047

江戸後期 保存刀装具 桐箱入

売約済

丸形 鉄地 鋤下彫 陰透 糸透 角耳小肉

縦:8.27 cm  横:8.29 cm  切羽台厚さ:約0.42 cm  耳際厚さ:約0.37 cm

法量を見てもわかる通り、8cmを超える大型の鐔です。透の入った薄目の板鐔、しかも無櫃。想像するに太刀に装着したものでしょうか。しかし紋の向きが気になります。中心櫃の責金から見た表面では、太刀を考えて刃先側を下にすると、右上の一番見せようとする個所には唐草の透があるだけの構図に。裏返せば九曜紋の透がドンとくるのですが、唐草は下向きでちょっと違和感が。やっぱり刀用でしょうか・・・刃先側を上に向ければ九曜紋も右上に来て目立ち、責金も表の所作になります。まあ、この辺はあまり気にせず、両用したのかもしれませんね。視点を広げて紋のデザインを拡大妄想すれば、ご神刀にでも使われたものかもしれません。何となくデザインが神社に関連したイメージに思えてしまうのです。
本鐔の製作時期はおそらく江戸後期。なかなか洒落たデザインで古風なイメージではありません。造も碁石形とは言わないまでも、ほんの僅かに中央部が厚く槌目地風に仕上げています。肝心の透は九曜紋と唐草の陰透。唐草は糸透となっていますが、これを糸透というには透の幅線が少し太すぎる感じがします。唐草のアール形は滑らかですが、所作は雑といえば雑で、透の両端にはあからさまな鑢痕が残されています。しかし逆に言えば手作り感がストレートに伝わり好印象です。それでも鑚で刻った九曜紋は、さも、丸い鑚で打ち込みましたという感じ。作位的に上手作とは決して言えません。ちょっと残念なのは、刃方側の耳が少し凹んでいるようです。叩いてこうされたのか、不手際でこうなってしまったのかはわかりませんが、そのおかげで唐草の隙間が押されてその個所だけ狭くなっています。本来、これぐらいの隙間が糸透と言われる所作なのだと思います。ともあれ、本鐔は造の所作で論じるよりも、簡素ながらその姿とデザインの印象で楽しんでほしい作です。

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