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鐔

三ツ巴紋透図(無銘・甲冑師)

商品番号 :TB-060

江戸中期 保存刀装具 桐箱入

70,000円

丸形 鉄槌目地 陰透 真鍮覆輪耳 片櫃孔

縦:7.90 cm  横:7.95 cm  切羽台厚さ:約0.40 cm  耳際厚さ:約0.36 cm

縦よりも横の方がわずかに0.5ミリほど広くなっていますが、これは覆輪の厚みの誤差を考慮すればほぼ正円の姿をしていると言って良いでしょう。この覆輪は真鍮で、疑いなく後補の所作です。鍛は槌目地で所々ムラのある平地が素朴感を出していて、雑多な鍛冶場の光景が織り込まれたかのようです。その粗さは陰透の三ツ巴に如実にあらわれ、切り取った側面は鑚と鑢の跡が明瞭に残されています。仕上げなんてどこ吹く風、無造作に形取っただけの透、正直、雑です。これはこれで良いではないですか・・・実用というか、鐔の本質を見せつけているような気がします。
造は切羽台あたりが少し厚く、碁石形とまでは言わないまでも、やや中高になっています。小柄櫃孔は最初から空けられた生なのか、後補なのかはわかりません。気になるのは鎚目の鍛で、平地全体にかすかな鑢痕が確認できます。その鑢目の向きは表裏とも同方向にかけられています。最初に鎚目の鍛である程度は整えたのでしょうが、最後まで丁寧に整えたのではなく、総体の仕上げは鑢で調整したようです。
本鐔に付けられた極は甲冑師・・・時代は江戸中期頃かと推測されます。甲冑師だからと言って古くはありません。なにせ「古」が付いていませんので。とはいえ、疑問が一つ。甲冑師と極められた鐔で銘の入った作例を見たことがありません。江戸期に入ると銘の入った甲冑が出てくるのですが、鐔には銘を入れなかったのでしょうか。まさか、鐔ごときに銘なんか・・・手練れの甲冑師といえどもそうは思わなかったと想像しますが。やっぱり、甲冑師というカテゴリの鐔は、甲冑師が作ったからではなく、そういう雰囲気なり作域の鐔だと思うのが無難なようです。そういう解釈でいえば刀匠鐔も同じようなものでしょうか・・・まあ、どちらも当店には同じような作域に見え判別が難しく、勉強不足を痛感する始末・・・お恥ずかしい限りです。

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