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太刀・刀

(菊紋)丹波守吉道

商品番号 : B-100-254

江戸前期 山城 特別保存刀剣 白鞘

800,000円

刃長:60.9 cm 反:1.5 cm 元幅:3.16 cm 先幅:2.25 cm 重ね:0.79 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は筋違。
地肌
小板目肌良く詰み、整った精美な肌となる。鎬地は詰んだ柾目。
刃文
焼幅広く、高低差のない大きくゆったりとした弯。匂口は小沸出来で深くふっくらとし、細かな小足が出て、刃中に小沸がつく。
鋩子
直状に入り小丸となって、返は沸が崩れて深く返る。
(菊紋)丹波守吉道

四代京丹波
丹波守吉道=簾刃・・・初代の京丹波、二代の大坂丹波も、またその一門も簾刃のイメージが強く、愛好家もまたその作域を望む傾向があります。しかし、ここに紹介する四代吉道の刀は家伝の簾刃ではなく弯刃。かなりゆったりと弯れた直調の弯です。別に珍しくもないと?・・・そうかもしれません。丁子や五の目、果ては皆焼が得意な刀工だって、直刃は必ずと言って良いほど焼いていると思います。であれば、その直刃の派生?とも捉えられる弯刃も普通に焼いている刃文の一つとも言えます。でも実際の現存刀を眺めると、弯刃は意外なほど少ない現実があります。何故なんでしょう。特徴を出しにくい?、華やかさがない?、中途半端?、直刃ほど堅実さがない?、侍に好まれない?・・・理由をあげればキリがないほど難癖をつけられます。そうではないとしても、刀工が好んで焼く刃文ではなさそうです。当店の勝手な憶測ですが、弯のライン(形状)取りが難しいのではないかと思うのです。ちょっとした線の形状如何で、厳つくもなり優雅にもなり、あっさりとした見え方の割りにはとても面倒な刃文なのかもしれません。簡単に言えば、センスの良し悪しががそのまま出てしまうのが弯刃なのではないかと。(機会があれば、現代刀匠に尋ねて見たいと思います。)

そういう視点で本刀を見ると、皆さんはどう受け取るのでしょう。弯の大きな山の頭は、威嚇つく感じもキブい感じはしません。谷も同じく見えますが少し違って、頭に対して少し窄んだようにも見えます。それでも総体にはバランスを取っているように思えます・・・個々の形状を深く考えなければ、ゆったりと流れる大河のようでこれはこれで、悠々とした落ち着きのある刃文だと思います。
匂口は柔らかくふっくらとして、刃縁に叢もなく微塵な小足も出て上出来です。ただ、金筋や砂流の所作はありません。逆にいうと、この刃文の谷と谷の間に金筋・砂流といった縦の所作が絡むと、そのまま吉道の代名詞でもある簾刃に変身することが可能です。つまりこの刃文は敢えて簾刃になるのを避けた鍛をして作ったとも言えます。弯のやや窄んだ谷の形状は、家伝である得意な簾刃を焼く時の特徴が、無意識に出てしまったが故の景色だと思うのです・・・このように考えると、本刀はそれなりに珍品かもしれません。それに刃長も考慮すれば、注文打の可能性は高く、精美な地肌の鍛も頷ける一振です。

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