刀剣本来の価値をお届けします。 HOME
太刀・刀

濃州関善定家武蔵守藤原吉門 寛文六年正月吉日

商品番号 : B-103-227

江戸前期 常陸 特別保存刀剣 白鞘・拵付

1,700,000円

刃長:69.9 cm 反:1.5 cm 元幅:3.20 cm 先幅:2.27 cm 重ね:0.70 cm 目釘孔:1つ

体配
本造、庵棟、生中心、鑢目は鷹羽。表裏に棒樋を鎺元上にて丸留。
地肌
小板目よく詰み極めて精美な肌となる。鎺元あたりに板目が交じり、総体に流れ心になる。
刃文
焼幅広く、匂本位で幅の異なる箱風の五の目丁子乱がランダム繰り返す。匂口は締り心でふっくらと深く所作し、刃縁が冴える。
鋩子
直調に入り、ほつれ気味に小丸となってやや深く返る。
濃州関善定家武蔵守藤原吉門 寛文六年正月吉日

匂本位でありながら深く鮮やかな匂口。沸出来ならわかるのですが、ふっくらと広がり叢沸も沸崩もなく付け入る隙のないほど見事な匂口です。刃文は違えど、虎徹や助広に比しても劣る様はありません。虎徹や助広は基本的に沸出来ですが本刀は匂出来、やりますね〜。南蛮鉄でも使っているのかと疑いたくなります。刃文は焼幅がかなり広い箱風の五の目丁子。五の目が2つ、3つと集まって拳丁子風の箱乱となり、それがランダムに連なります。そこに丁子の足が匂崩を伴うことなく展開するので、かなり動きのある複雑な刃文にも関わらずスッキリと明瞭な刃文を形作っているのです。そしてこの刃文、厳ついところがありません。尖刃風の所作が見当たらず、焼頭は丸みを帯びて穏やかな印象。もちろん研による意図的な刃拾も見られません(研による意図的な刃拾は意外と多いのです)。

・・・実は本刀を作った吉門、関の出身です。ですから関の特徴の一つでもある尖刃が出ても良さそうなものですが影を潜めています。地肌も肌立った板目ではなく少し流れ気味ではありますが精美に詰んだ小板目。関の刀工の概念を覆す作域です(改めて固定概念を捨てて見ることの大切さを突きつけられます)。関の名残を感じるとしたら、匂出来そして中心の鑢目が鷹羽になっていることでしょうか。・・・まあ、兄である越前守吉門と一緒に江戸に出たわけですから、当時の作刀の傾向やた刀工の影響を考えれば、本刀のような刀を作る事は不思議ではありません。(江戸に出ると、やっぱり作刀も洗練された造になるのでしょうか?) この見事な刀を作った時期は、まだ水戸家に抱えられる前の江戸に住んでいた頃で、その腕を評価されてか寛文十二年に水戸家の抱工になります。その後、大村加トの門人となり「ト伝」と名乗るようになったのは知られた話です。加トの門人となってからは沸出来の相州伝風になっていくとあります。ト伝の初銘でもあり、匂出来で上出来の本刀、正直、重要審査に出したいぐらいです。

ページトップ