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太刀・刀

備前国住長船次郎兵衛尉治光

商品番号 : B-SD060

室町後期 備前 特別保存刀剣 日本刀工辞典所載品 白鞘入

5,000,000円

刃長:65.2 cm 反り:2.27 cm 重ね:0.74 cm 目釘穴:1

体配
本造、庵棟、中心は生で少し区送り、孔は一つ、鑢目は勝手下がり。表に剣巻龍、裏に短い棒樋と添樋を丸留。
地肌
板目に小杢目交じりよく練れよく詰む。地沸微塵に厚くつき、細かな地景表れ淡く移立つ。
刃文
匂口ふっくらとした広直刃が浅く湾れて互の目が交じる。彫と相俟って優雅な印象を醸し出す。
鋩子
横手より一枚風となり5寸程深く返る。
備考
『日本刀工辞典』所載品。長船治光の俗名入り、加えて剣巻龍が彫られた注文打の一振りです。辞典では備前の刀匠彫の代表作と紹介されている本作。中心の銘とともに彫も写真付で紹介されています。体配は末古刀そのままに腰反りの姿も優美で踏ん張りがよく残り、僅かに区送りされているとはいえ、健全度も高いのが魅力です。
備前国住長船次郎兵衛尉治光 拡大写真

本作は刀工辞典に銘と彫が所載されていることで、ちょっとは知られた刀です。ただ残念というか幸いというか指裏については、どの文献にも表記や解説が載っていません。なので、ここでその理由を明かしたいと思います。
指裏に隠された真実・・・それは中心に手が加えられているということです。正確には、年紀あるいは為銘(注文主)が消されています。その跡もハッキリと確認できます。ではなぜ、出生の証となる年紀や為銘が消されたのか・・・それがあっては不都合な場合を考察すると答えが導き出されます。おそらく、注文主の名を嫌う人物、都合の悪い人物によって消された。こう考えれば合理的です。たとえば、戦の戦利品として分捕った場合、褒美として授けたり、授かる場合も同じです。敵将の銘が入っていたらと想定すれば、消し去る事に納得です。もしかして、剣巻龍の彫は、その時に入れられた可能性が高いと思われるのです。 ただ、そのおかげで、刀工辞典で紹介される事につながったのであれんば、当の治光にとっては喜ばしいことなのか、迷惑だったのかは知る由もありません。一つ言えるのは、やはり中心を後から勝手にいじるのは考えものです。しかし、それも世の常。どの時代でも本作に対する極は同じで、遺棄してしまうには余りにももったいない優作です。無くなってしまうよりかは良かったのかもしれません。となれば、残された今の治光をしっかりと守ってあげるのが愛好家としての務めかと思うのです。

▼ 中心の指裏をよく見ると、なにかしらの文字を消したために、中心の鎬筋がよろけて曖昧になっているのが確認できます。
刀匠彫とされる剣巻龍の彫。作刀時ではなく後から入れられたものですが、彫を入れた理由は何なのか知る術はありません。ただ、作刀も見事ながら、彫の上手さも光る一品です。裏面の樋も含めてバランスの取れた姿に、藤代氏が取り上げるのも頷けます。

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