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脇指

脇指

横山伊勢守祐平作 文化七年八月日 備陽長船住人

商品番号 :C-001-010

江戸後期 備前 保存刀剣 白鞘

480,000円

刃長:40.4 cm 反り:1.2 cm 重ね:0.72 cm

体配
平造、庵棟、中心は生で孔は一つ、鑢目は切り。
地肌
総体均一に小板目肌よく詰み精美な肌となる。移りが焼元から鮮明にたつ。
刃文
匂出来の少し細目の中直刃、匂口やや深く刃先に向ってやさしく馴染む。
鋩子
直ぐに中丸で、やや深く返る。
備考
本刀の印象はまずその姿、さも古風な姿が目に焼き付けられます。先反りの強い平造の脇差特有の姿かもしれませんが、フクラが残っている分、特に印象づけられます。研減ってフクラが枯れた切先に比べ、まだまだ健全な姿を保っている証拠です。しかし、これでも研がれている状態で、短刀によくある内反りでフクラが枯れて鋭角な切先をそのまま「良い姿です」などと勘違いはしないでください。それはかなり研減った現在の姿をみていることを忘れてはいけません。おっと本題に・・・本刀が作られたのは文化七年、もう幕末に近い頃です。その時代の脇差の姿に比べても本刀はやっぱり古風であり、特注品の誂え物と考えるのが自然です。やっぱり備前の刀工ですから、盛光・康光あたりの応永備前かなのか祐定あたりの末備前なのか判りませんが、古い備前物に倣ったものかもしれません。直刃を焼いていますから与三左衛門尉ではないとは思いますが。地肌もまた写の兆候が・・・新刀以降、板目でも刃寄り・棟寄りは柾目になる作が殆んどですが、本刀は刀身総体が良く詰んだ精美な小板目肌。この辺は古い備前刀工に共通する鍛えで、意図的に鍛えた感が見てとれます。もちろん移も鮮明に出ており、応永頃の備前物の写と言ってもよいと思います。
本刀を作った横山祐平は絶対本数が少なく、初銘は祐定。天明八年に薩摩の奥元平に相州伝を学んだ異色の備前刀工と言われ、師である「元平」より平の一字を許され「祐平」と改銘しています。とはいえ、匂出来で移が鮮明な本刀は、祐平本来の備前伝で向き合った一振。元平に師事した後の伊勢守受領後の作と考えれば、注文主の指示なのか、あるいは本人自ら原点に回帰した作なのか、その理由にちょっと興味をそそる作と言えます。

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